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第3話
昨日あったことって夢だったかも?とか、甲田とヤリた過ぎて妄想と現実の区別つかなくなっちまったんじゃねえのか?とか思って自問自答しながらじっとしてて気付いたんだけど、朝から甲田が声も出さずに泣いてる。
心臓つぶれるかと思った。
毛布被ってるから直には見えないけど、小刻みに震える吐息、涙を拭う手の動き。
好きな奴のそんな仕草、見逃せるワケない。
てことはやっぱ俺、コレを、甲田に挿入れた……?!
元気に下着を持ち上げ朝勃ち中の我が分身を穴が開きそうなほど睨み付けながら、ちいさく震えた甲田の吐息にハッと我に帰る。
「甲田、大丈夫?まだ腹ん中いたい?」
毛布めくったらダメだったかも。もうめくっちゃったけど。
あー、目元真っ赤になってる。
そっか、そりゃショック受けるよな……。甲田ノンケだもんな……。
「俺、急ぎ過ぎた。調子に乗ってた。ごめん……。」
甲田の顔の前に両手ついて土下座する勢いで頭下げる。
「でも、好きだから。俺ほんとに、甲田のことめちゃめちゃ好きだから。それだけはわかって。」
初めて泣かせてしまって、正直パニックだ。俺どうしたら。
オロオロしてたら、
「うん……いいよ。玉置なら、いいよ。」
俺は自分の耳を疑った。
え、やっぱコレ夢なんじゃねえの?
だって、俺に都合が良すぎるだろ。
「…………」
「おはよう」
固まった俺に、甲田はおはよう言いながらキスしてくれた。いつものように。
「……っ……!!」
ま、マジか……、俺、え、俺、抱いて良いワケ?この先、この可愛すぎるイケメン抱いても良いわけ??好き放題抱いていいわけ?!?!
てかもしかして!
もしかして!
今!抱いても!いいってことなんじゃ!ないんですか!?
「ん、んん…っ…」
甲田の唇にかぶりついて、口のなか舐め回す。息吸うのももったいないくらい夢中でキスして、
「すき」
ちっさい声で繰り返した。
「すき」
「うん……」
「すき……すきだ」
「……うん……」
あー、ヤバい。可愛い。自分からキスしてきてくれるとか。
べろちゅーしたらいっつもちょっと恥ずかしそうに目を閉じて、でも気持ち良さそうにしてくれるとことか。
バカになりそう。
昨夜の感触を頭の中で思い出して反芻する。
俺多分大分早まった。だって、あんな幸せな快感、一回でも味わっちまったらそりゃ我慢なんか出来っこない。
昨日は……舐めて、唾液注ぎ込んで濡らしまくったから入り口はすんなり通過したけど、挿入った瞬間めちゃめちゃキツくて、入り口におもくそギリギリ締め上げられて、でも奥は柔らかくて熱くて融かされるかと思った。
あんなに、快いなんて。あんなに、ほぼ根元付近まで俺のちんこが飲み込まれて……。
自分の眼で見た視覚情報を思い起こしながら、頭がクラクラしてきた。
更に今のキスで涙で潤んだ瞳がトロンとなってて、尋常じゃない色香を放っている。
おま。これ、惚れた相手のこんな表情見て立ち止まるとかもう無理無理無理。
「ちょっと待ってて。」
掠れて熱の籠った声、言いながら恥ずかしくて語尾が小さくなる。
普段甲田のベッドにばかりいるから放置状態の自分のベッドに一足で飛び、下の引き出しからヘアクリームみたいなチューブに入ったジェルを掴んで戻る。
有名どころのローションとかだと外装だけで用途バレバレで見付かったら死ねるけど、こんな無害そうなパッケージのアナルセックス専用ジェルとか普通の人間はまず知らない。
甲田に恋心を受け入れてもらってから即通販で入手して、いつか使える時が来たら……とか思ってたのに昨日はすっかり失念してた。
俺のバカ。
最初から使ってたら、きちんと準備万端整えてたら……。
と、そこまで考えててピンポンパンポーン、て音に甲田と俺、同時にビクッと跳ねる。
起床時間来ちゃった……。あーーーーーーーーちくしょーーーーーーー!!
甲田と同室の寮生活自体めっっちゃ幸せだし、昨日なんて初めての彼氏と初体験できちゃって有頂天な俺。
もうダメだわ俺。
甲田のことで頭がいっぱい過ぎる。
7月だから当たり前だけど水泳の授業あって、体育の時間中甲田の半裸とか、もちろんまともに見れない。
てか勃起する自信あるし。
なんなら側に居るだけで動悸息切れ発汗する勢いで興奮するし、むしろ考えただけでももうヤバいんだ。
制服から水着に着替えてる間、極力周囲を視界に入れないように下向いて頑張った。
ほんとは水泳の授業そのものをサボろうかなってギリギリまで悩んだんだけど、何度もある水泳の授業全部をサボるワケにはいかんしな……。
甲田と同じクラスで、嬉しいんだけど、こういう時困る。
俺が甲田を好きすぎるから、自分の体のコントロールが効かないんだ。
視界に細身で白いけどやたら硬そうな筋肉質の腕が過ってふと目線を上げると、
「何モタモタ着替えてるの?早くしなよ」
何故かイラついた声で雪也が俺を急かすから、ムカついて睨んだら、
「玉置、何人もに撮られてるよ。どうする?ケータイ取り上げてデータ消させようか?」
「げっ……またかよ……」
面倒くせえ。
甲田のことで頭がいっぱいの俺には、同じクラスの他の奴の動向なんてどうでも良すぎて気にする余地がなくて忘れてた。
正直、意中に無い相手から向けられる視線は単純に気色悪い。
でもまぁ、俺のプラチナブロンドの髪や体毛、青い瞳、白い肌にピンクの乳首、顔立ちも女の子みたいで見た目が珍しいっていうのは自覚してるし、今に始まったことじゃないし減るもんじゃないし。
着替えてるとこ撮られたところで女じゃねーし、元々体育の授業の水泳の為に半裸になるんだから別に一緒だしどうでもいいし。
『暖かくなって衣替えあれば逆転する』
以前雪也が言ってたことは現実になった。
夏仕様の制服だけなら然程でもなかったけど、体育の授業の影響力はデカイ。
半袖ハーフパンツの体操服でも雪也の鍛え上げられた肉体は隠しきれて無かったんだけど、水泳の授業が完全な決定打となった。
結論から言うと、クラスの中で雪也以上に筋肉質で男らしい体型の人間は誰も居なかった。
顎の付け根より一回り太く盛り上がった首の根元から肩回りを覆う僧帽筋、筋肉の付き方が解りやすい丸く張り出した肩と腕から、陰影のはっきりした厚い胸筋と腹部のシックスパック、膝の上の大腿筋は二つに割れ、脹ら脛は子持ちシシャモ。おまけに背面には鬼が住んでいる(鬼の面のように筋肉による凹凸が出来ている)……。
全体的に脂肪の少ない打撃特化型の肉体の説得力は狂暴だ。
少なくとも、同じクラスの奴らは一目で悟った。
『梶並雪也には勝てない』
雪也の少女のような顔面と白い肌、着痩せする一見細身で小柄な体に騙されて夢を見ていた奴らは、すっかり現実に引き戻されたらしい。
そんでもって俺はというと、雪也以上にモテモテになったりこの可愛さを武器にちやほやされまくるとかいう訳でもなく、質の悪いセクハラみたいな目にやたら遭うようになってしまった。
ぶっちゃけ俺、共学だった小中の頃の方がモテた。ただし俺にとっては恋愛対象外の女子からばかりだったけど。
男しかいないここでは、小柄で女みたいで外人みたいな外見の俺はどう足掻いてもマイノリティ。
尊重してくれる奴ばかりじゃない。小学校や中学の時も勿論同じだったけど、女の子たちや友達が守ってくれてたから被害らしい被害は無かったんだ。
パパっと着替えて、雪也とプールに向かおうと思った。
甲田も一緒にいるけど、意識したらヤバいので授業が終わるまではツライけど甲田を見ないように気を付けないと……。
「データ消せ。今すぐ。」
いつもと違う硬質な甲田の声に驚いて、顔を上げる。
雪也が教室の出入口に立ち塞がってて、バツの悪そうな表情の数人を挟んで、彼らより頭半分背の高い甲田が怒りの滲んだ鋭い目付きで上から叱り付けていた。
「消した?じゃあ貸して。確認するから。データ残ってたらこの後プールの授業でケータイと一緒に泳いでもらうからね。」
出入口を塞いだ雪也が言いながらケータイ全部没収して、チェックしてる。
強硬突破しようにも格闘家並みに鍛え上げられた筋肉の圧力は凄い。
水着しか着けてないから隠しようもない、見事な逆三角形の上半身に、これまた硬そうな腿。身長は165センチで小さめとはいえ、普通の生徒を威圧するには十分だった。
反対側の出入口の方に逃れようにも、そちらへは行けないように身長185センチの大柄な甲田が行く手を塞いでいる。彼らにはもう逃れる術は無かった。
え、ええーーーっ?!
ど、どういうこと?!
さすが俺の甲田!怒った顔もカッコイイな?!
あと、綺麗にダンサーみたいな筋肉付いてる長身、セクシーなのは知ってた!知ってたけどサイコーだな!!
やっぱ俺は雪也ほどバッキバキに割れて盛り上がった筋肉より、甲田みたいなほどよい健康的な筋肉の方が色っぽいというか好きだな……。
とか考えてる間に雪也と甲田が盗撮データ全部消去してくれてて、二人ともなんかカッコイイし良い奴らだし、俺はなんか、自分のロクでもなさにただただうちひしがれるしかなかった。
夜、甲田のベッドで大木に止まるセミみたいに甲田にしがみついてTシャツ越しの胸元に額を擦り付けながら、胸いっぱいに甲田の匂いを嗅いで、それから甲田の顔を見上げた。
「今日、ありがとう。俺の写真データ消してくれて」
「いや、俺も雪也が言ってくれなかったら気付かなかったから、ごめん。撮られる前に防げなくて」
「……そんな」
「次からは俺と雪也が先に着替えてからバスタオルでバリケード作るから、そこで着替えよう」
「……うー……」
「玉置?」
「カッコイイな。甲田も雪也も。自分のことだけじゃなくて周りもちゃんと見てるし、守ろうとしてて。俺なっさけないなぁ、ごめん……。」
「いや……普通、教室で着替えてて盗撮されるとか思わないよ。俺徨梁にずっといるけど、今まで他では聞いたことないし……。」
フォローまで完璧かよ。すっげえ好きだよもう。
「甲田あの、これから……雅広って呼んでもいい?そんで、俺のことも玉置じゃなくて裕司って、名前で呼んで欲しい」
「うん。わかった。」
「……雅広」
ぎゅって抱きしめて名前呼んだら、ぶるる、って、甲田が身震いしたのが伝わってきた。
顔を見ると、耳まで真っ赤で……。
「ゆうじ」
ちょっと躊躇いがちに震えて聞こえてきた声に、心臓ががが。
凛々しい切れ長の瞳と視線がかち合う。吸い寄せられるように唇を合わせて、舌を吸った。
何度も角度を変えながらキスしてたら、合間に恍惚としたため息が聞こえた。
「すきだ」
自分の耳、疑った。え?甲田……いや、雅広が俺に、好きって言ってくれた?
初めてじゃね?
つか、間違いなく初めてだよ!!
「……マジでっ?!」
「うん、すきだ」
「え、ええー!どうしよ、嬉しすぎんだけど!!」
「ごめん、時間が掛かって……」
「いいよそんなん」
俺がへらへら笑ってたら、雅広は真っ直ぐに俺の目を見て、
「真正面から向き合うって決めたから。俺を好きになってくれてありがとう、裕司」
「……っ!!」
やっべえ、ぐっらぐらくる。
真面目か、そうなんだよな。すげえ真面目なんだ。最初からずっと俺の一方的な恋心にきちんと応えようと努力してくれてたもんな。
じわりと、喉元から熱い塊がせり上がってきて目の前の雅広が水の中に居るみたいに見える。
「たまき、どうし……」
嬉しかった。嬉しすぎて。
「……っ……」
声上げてわんわん泣きたいくらいだけど、流石に我慢した。何度も手の甲で瞼拭くのに止まらない。涙腺崩壊してて手がびしょびしょになる。
雅広がティッシュいっぱい取って渡してくれた。
ごしごし顔擦る。
言葉にならない。俺はずっと孤独だった。他人との関わりにおいてまずぶち当たる最初にして最大の壁は日本人離れしたこの容姿。
さらに加えていつまで経っても二次性徴が仕事しないから見た目が男らしくなって行かなくて男子校じゃもう完全に浮いちゃってて、今日の水泳の時みたいな明らかに同性としておかしい扱いを受けることも多い。
下手すると人間扱いすらされない。
自分でもわかってるから覚悟はしてたし順応もしてた。それでも平気なわけじゃなくて。
我慢してた。
しょーがねーじゃんって、諦めてた。他の何かが思い通りになんていかなくっても、惚れた男捕まえてべったりくっついて暮らせてて今間違いなく幸せなんだしその上相手の心まで手に入るなんて考えたらバチあたんじゃねーのって。
なのに真正面から向き合ってくれるとか、夢かと。
「おれこそっ、まさひろすき、……っ、なって、良がった……あ、ありがと」
ティッシュで鼻水拭きながら言う俺を、雅広は抱きしめてくれた。
「なんか、今日やっと、他の奴らが裕司をどういう目で見てるのかがハッキリわかって……雪也には以前から何度も言われてたんだけど、ごめん、目の前で見てやっとわかって。
腹が立ったんだ。物凄く。おれ、……俺のなのにって、思って。」
「え……」
「俺の、恋人なのにって、思って」
「!!ま……」
「もう、今日みたいな思いはさせないから。」
言いながらぎゅうって抱き締められて、頭がクラクラした。
かっこよ!!かっこよ!!かっこよーーーー!!
てか、恋人!!そう!恋人同士なんだけど!でも、まさか雅広にそんなこと言って貰える日が来るとは……!!
鼻水垂らしてる場合じゃねぇ!ブーン、鼻かんでティッシュ捨てる。
それから雅広をおもいっきり抱き締め返した。
「すきだ~!すきだよおおっ」
「裕司、声大きいよ……」
「どーせもう俺が雅広に惚れてんのなんて皆知ってんし。だって隠してねーもん」
「……うん。」
ちょっと照れて笑いながら頷く雅広にドキドキする。真面目で照れ屋っぽいくせに、こういうおおらかなとこには本当に救われる。
世間体だの体面だのっていう多数派の常識を根拠に想いを否定されるのなんて俺に限らず少数派にとっては当たり前の日常だ。
いや、ありのままを受け入れてもらえるなんて、俺みたいな人間じゃ無くたって物凄くレアなことだろう。
でも雅広はその辺の普通の奴らとは違う。誠実だからこそ慎重過ぎて焦れったいところはあるけど、代わりに不器用なほど芯がブレない。言ってくれた言葉の額面通り、まっすぐに受け止めてもらえるんだってことが確信できた。
好きだなぁ……。
「雅広、抱きたい。」
あっ、口が勝手に!正直すぎるぜ俺の口!
「え……っと、昨日の続きってこと?ちょっとまだ怖いかな……」
「そうだよな、じゃあ、さわりっこするとかは?」
「さわ…………えっ……と、い、いいのかな」
「おれは、いいよ。触ってほしいもん」
「…………っ」
ごくり、雅広の喉仏が上下に動いたのが見えた。
真剣な目、紅くなった頬。表情からしてもう逃げ腰だった以前とは違う。
あー、すげえ。マジか。
ホントに、雅広、俺のこと……。俺のことすきになってくれたんだな。俺と、したいって思うようになってくれたんだな。
じっと見詰めてたら、抱き寄せられた。それから、躊躇いがちにキスしてくれた。
すぐ離れちまう。
目開けてたから真っ赤っかな耳たぶとか頬とか見えて、可愛すぎて萌える。
股間がもうずっとパンパンに充血しててぞくぞくモヤモヤズキズキする。
雅広のそこに手を伸ばすと、俺と同じように硬くなってて。
おお……。
なんか感動。
パジャマがわりのハーフパンツとその中のボクサーパンツの前ずらして取り出そうとすると雅広はオロオロし出して、でも俺の手を掴む腕には力が全然足りない。
ピョコンと出て来た雅広のものの先端を指の腹で優しく撫でて、それからくびれのところまで皮を剥き下ろした。
「やっ、ちょっと、やっぱり、待って待って……っ」
「やだー」
「えええっ」
そんなもん、やっといい感じに両思い確定して俺がどんだけ嬉しいか、どんだけ興奮してるか……ホントは今すぐケツにぶち込みたいくらいだっての。
勿論我慢、するけど。
自分のも取り出して、雅広の体に抱きつく。下半身密着させて二人分の性器を両手で握り込んだ。
興奮する、でも潤滑剤無しの乾いた状態じゃ擦り合わせた時の摩擦が大き過ぎて若干痛い。
「あっ……」
「なんか滑らせないとだめかな、ちょっと待って。」
俺は満を持してセックスのために用意してあったジェルを取り出した。
アナルセックス用だから乾き難くて滑りがいいはず。
手のひらにたっぷり出して両手でちょっと暖めてから雅広のを掴む。
にゅるにゅるにしてから自分のを押し付けると、うわー、これヤバイ。
きもちい。
あと、見た目もヤバイ。雅広のかわいい。俺のより一回りくらい小さいな……。こんだけくっつけたらサイズわかりやす。
「雅広、キスしよ」
顔近付けてきてくれた雅広とちゅってして、それからすぐに唇舐め回して舌で歯列をなぞった。
開いてくれた咥内を舌で愛撫しながら、二人分の性器をしごく。
クチャクチャにちゅにちゅ音がして、雅広が腰引こうとするたび引き寄せてたら、熱いのが飛び出してきた。
「っちょ、まって……っわ、拭かないと、だし、」
「まだだめ。俺はイッてないよ、雅広」
「だって、ゆうじ、お、おれ、こんなのっきついよ……」
「雅広、そんじゃちょっと足閉じてこう……」
「えっ?や、入れないって……」
「すまたって、聞いたことない?ほら足閉じて、ここに挟むの。だいじょぶ、痛くないよ……」
赤ちゃんのオムツ換えるときみたいに足持ち上げたから雅広は慌てたけど、すぐ足閉じさせて俺のチンコを挟み、睾丸から性器を擦り上げるように腰を使うとびくびく震えてのけ反った。
戸惑いは強いみたいだけど、気持ち良いんだなってのがわかりやすい反応。
かわいいよー、どうしよー、もー、もしかして雅広、ロクにオナニーもしたことねぇんじゃねえの?俺だってセックスは雅広が初めてだけど、お年頃だもん、それなりに刺激に慣れちゃうくらいには一人上手の研究してる。
こんなびくんびくん感じちゃうとことか、すぐイッちゃうとか、かわいいが過ぎるだろ。
尻から股間にかけてにゅるんにゅるん滑ってたら雅広、とろとろに感じた表情してて、薄く開いた口から拙い喘ぎが漏れてて。
すきだ。
閉じてた足解放して上から思いっ切り抱きついて雅広の腹の上に吐精した。
「うああー、やっぱ入れたいよぉ~」
あ。また、つい本音が。
「……ちょっとだけ、なら……」
「えっ」
「き、………………気が変わらないうちに」
「………っええ?いいの?」
「……………」
雅広が押し黙ってしまった。
やっちゃえやっちゃえって、俺の中の悪魔が踊り狂ってて、股間が秒で回復してきてて臨戦態勢だけど。
「ううん、やっぱ今日はいいよ。入れたりするのは雅広が怖くなくなってからにしよ。ごめん。俺すぐ調子乗るから……」
だってちょっとだけでなんて終わんねぇもん。
それにこの先もずっともっといっぱいしたいし。
そもそも、好きなヤツに我慢や無理させてまでするようなこっちゃねえもん。
こんな良いヤツ、大事にしないとバチあたるわ。
弾け飛びそうな理性の欠片をかき集めて、必死で繋ぎ止めた。
俺をせっかく好きになってくれた雅広に、ツラい想いなんかさせたくない。
「雅広が好きだから、ちゃんと二人で一緒にきもちくなれることばっかりしたい。俺だけ気持ち良くても意味ないもん」
悪魔退散。暴走自粛。色即是空。なんかわからんけど頭の中で唱える。
発情猿まっしぐら過ぎてせっかくラブラブになれた途端にソッコー愛想尽かされるとかマジ勘弁だし、理性だいじ。理性だいじ……。
そのあと目の前の据え膳を必死で我慢しながら、雅広を抱き締めてキスして頭撫でて、それだけで堪えたオレ、マジ英雄。
end.
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