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俺は速水財閥にΩとして生まれた。
Ωはαに嫁いで子供を作ることしか価値がなかった。
先日まで入院していた病院で突然ヒートしてしまい、謎のαに首筋を噛まれた。意識が戻った時には姿はなく、必死に番の人を探したが未だに見つからない。しかし、見つかったところで嫁ぐ前に番ってしまった俺は「拒絶反応」を起こし、Ωとしての価値が無くなった。
無価値の俺は親に絶縁され、門の外へ放り出された。何も持たず追い出されてしまい、俺は行く当てがないまま路頭を迷って居た。
遊具もなく、ベンチしかない小さい公園でぼーっとしていた時、黒い車が目の前で止まった。運転手が出てきて、後方ドアを開けるとスーツ姿の若い男が現れた。
見た瞬間身体が痺れ、汗が滲む。
ーーー…えっ?
「おぃ、バカチビ」
「っ…」
キョトンとしていたが見知った顔だと分かると雨は目の前の男を睨んだ。
男は眉間のシワが寄り、睨み返した。
「あの話は本当だったか。速水 雨、約束通り迎えにきた」
突然、現れた男は幼い頃によく会っていた久慈文人だ。
「帰る場所ないんだろ?」
一番ムカつく奴で兄の親友が俺の人生を狂わせた番で運命の番だった。
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