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第10話

月次郎の舌が正吾の口の中を弄る。 「ん…ッ」 蕩けるような口づけ。少し緊張していた正吾は気がつくと力が抜けてきた。 月次郎は体験がない筈なのに、この気持ち良さはなんだ、とふと正吾は思った。 さらに月次郎の手が内股に伸びてくる。 ビクッと正吾の体が弾んだ。 あの時と逆に、月次郎がゆっくり正吾のモノに触れて扱き始めたかと思うとそれを口に含んだ。 「…つッ…」 愛おしそうに舐める月次郎。 舌を使って、上から下へ。 ゆっくりと時に早く。 奥まで入れて唇で扱く。 「うァッ…、う…」 たまにさきっぽだけを舐めたり。 強く吸ったり。 「あっ、ああっ…やあ…」 何故こんなに気持ちいいのか。 「…はっ…あ…」 チロチロと月次郎の舌が正吾を攻めていく。 (もっと、もっと…!) 突如、口に含んだままの月次郎の頭を正吾が掴み、乱暴に自分に寄せる。 「んむっ、ンンッ!」 急に強く押されて月次郎は驚きながらも懸命に動く。 奥まで口に入れられて喉まで入る。 「も…、駄目だ…ッ」 髪を掴んだまま正吾は思い切り、月次郎の口内にぶちまけた。 「んアッ…!」 いっぱいに出されて、月次郎は思わず咳き込みつつもソレを飲み込んだ。 正吾は我に返り、月次郎に謝る。 「す、すまねぇ…」 月次郎は口を拭いながらも、ニヤリと微笑む。 その様子がどの女よりも…艶めかしい。 相手は男だ。なのに、と思うのは 月次郎だからなのか。 考えるよりも身体が動いていた。 月次郎の身体を組み敷いて、帯を解き着物を乱暴にはだけさせて手で反り返っている月次郎のモノを扱く。 「にいさ…んっ、そんな強く…ッ…」 右手で扱きながら左指をそっと月次郎のナカに入れる。 「ひっ…!」 思わず月次郎が驚く。 「女と同じだ。慣らさねぇと、お前が辛い」 「〜〜ッ!」 ゆっくりゆっくり、指をかき混ぜていくうちに月次郎の声が変わってきたことに気づく。 と同時に復活した自分自身を早く月次郎のナカに入れたくて、正吾は指を抜き、ソレを当てた。 「月次郎…、もう、入れてぇ」 「う、ん」 紅顔の月次郎は自分の腕を正吾の肩にかけた。 「正吾兄さん…きて」 「…!」 月次郎の言葉を聞くや否や、正吾がゆっくり月次郎のナカへと自分自身を入れた。 「い、ああっ…あっ!」 痛いのか、月次郎の顔が歪む。 正吾は一瞬申し訳無く思ったが、どうにも止めることなど出来ない。 そのまま出し入れを続けていく。 「やあ、ま…って…あ、ああッ」 グチュグチュと淫らな音と二人の喘ぐ声が室内に響く。 月次郎のナカは暖かく、気をつけないとすぐにイッてしまいそうだ。 「気持ち…いい…ッ」 「あ、あっ…あっ、あっ」 いつしか月次郎の声が甘くなってきた頃、正吾も限界を迎えつつあった。 「月次郎…ッ、つきじろ…」 「あっ、はあっ…う、アッ、アッ」 イヤイヤとただをこねるような仕草をする月次郎にそっと正吾が口づける。 「もう…駄目だッ…でちま…う…!」 大きく腰を振りながら正吾が堪え切れない声を出す。 「あっ、あ…!もう、いい、…っ」 月次郎は目を細めて微笑む。 瞬間、月次郎を大きく深く抱きしめて正吾は思い切り突いた。 「く…アアッ!」 「あ、ああああッ…!!」 二人は同時にソレを放った。 ** はずむ息が落ち着いてきた頃、正吾は髪を触りつつ腕の中の月次郎を見ていた。 「お前、本調子の体じゃないんだから無理すんな」 「無理じゃない。今日しないと後悔した」 屈託無く笑う月次郎に正吾も苦笑する。 「正吾兄さん…、ねぇも一回したい」 「お、お前な…」 「あの時みたいに、色んなカタチ教えて」 悪戯っ子のように笑いながら月次郎が言う。 師匠の春画のときの体位のことか、と正吾が聞くと頷く。 どこで仕入れてきたのか知らないけど、と月次郎が言うと征太が笑う。 「豊師匠の春画からだ。あんなの体験済みなわけねぇだろ」 「…これからたくさん教えて」 そういうと、月次郎は正吾に抱きついて唇を重ねた。 オレもだがお前も助平だな、と正吾が言うと二人は声を出して笑った。 鈴虫の涼しげな鳴き声が辺りに響いていた。 「一緒に暮らそう、月次郎。もう離れんな」 「正吾兄さん…」 「そしてよぉ、師匠たちを驚かせてやろうぜ」 まああの二人にゃ敵わねぇか、と笑う。 月次郎は正吾の肩に頭を載せる。 「諦めたものが二つも返ってきて、どうしたらいいんだろうね、正吾兄さん」 月次郎の顔を見て正吾は微笑む。 「どっちももう離すんじゃねぇよ」 どちらからともなく、唇を重ねた。 長く長く、甘い口づけを。

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