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第50話 愛し合う時間
進一郎は、達したあとの余韻にたゆたう冬多を、優しく抱きしめ続けた。
もう今夜はこれだけでいい、と思っていた。
愛しい人が、進一郎の愛撫に感じ入り、甘い声をあげ、高みへと昇りつめるところを見れた。それだけでもう充分幸せだった。
確かに進一郎の雄は、冬多を欲しいと切実に訴えてはいるが、冬多が眠ってしまうまで、なんとか我慢して、自分で処理をすればいい。
冬多の荒かった呼吸が落ち着いてきた。
進一郎は、彼の額にキスをして、
「そのまま、おやすみ、冬多」
耳元でそっと囁いた。
でも、冬多は大きな瞳で、進一郎を見つめたかと思うと、小さな声で言った。
「ダメだよ……、佐藤くん、まだ……」
「……オレのことは気にしなくていいから」
でも冬多はかぶりを振った。
「言ったでしょ? 僕、佐藤くんをもっと知りたいんだ……。もっともっと近くに佐藤くんを……感じたい……」
「冬多……!」
欲望が沸点を超えてしまった。
もうとまらない。とめられない……。
進一郎は冬多のパジャマを完全に脱がせてしまうと、自分もまた全裸になった。
ゆっくりと冬多のうえへ自分の体を重ねていく。
今一度口づけを交わしながら、冬多の放った愛液を自分の右手の中指へ絡めて、彼の最奥へとゆっくりと沈ませた。
「……っ……」
冬多の体が強張る。
けれど、彼は決して痛いとは言わなかった。
「冬多……、冬多? 大丈夫か? 痛い……?」
すると冬多は笑顔を見せるのだ。目にはいっぱい涙をためながらも、彼は本当に幸せそうに笑う。
「へい、き……、佐藤くん……好き……」
「体から、力抜いて……、冬多。痛かったら、痛いって言ってもいいんだよ……?」
それでも冬多は決して、痛いとは言わない。進一郎を愛しげに見つめてくるだけで……。
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