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5 いけない恋のデカダンス③
垂れている。
青筋の走る立派な幹に、透明な雫がヌチャヌチャ、ヌムヌムと。
太い先端が卑猥な蜜を垂らしている。
黒い茂みがしっとりして恥ずかしい姿なのに、目の前のソレは悪びれる様子もなく、むしろ堂々と天を仰ぐ。
根元には、心ならずもさっきまで俺の手が握っていた大きな袋が揺れて……
天衣無縫の巨こ……
きょこここ、こ……
(スーハー、スーハー)
落ち着け、俺。
(スーハー)
天衣無縫のきょこん……だ。
「恥ずかしいよ。そんなに見つめられたら……イッてしまいそうだ」
漆黒の眼差しをすぅっと細めた。
動けないのは、どうしてだ?
今なら……
藤弥さんの腕が緩んだ。
ドアロックを外せば、外に出られる。
ここから、逃げられる。
藤弥さんから………………
(俺は………)
藤弥さんと一緒にいたいんだ。
この場所から逃げない。
逃げたくない。
あなたと同じ場所。
あなたから離れたくない。
ここは、あなたのつくってくれた居場所
「どうしたんだい?」
しがみついた体、あったかい。
心臓の音がとくん、とくん鳴ってる。
ふわり……と。
優しい香りが包んだ。
記憶だ……
懐かしい記憶の香り……
この香りに抱かれて眠っていた。
寂しい夜も、遊び疲れてしまった夜も。
あなたの優しい香りが俺を抱 いてくれた。
涙は、朝の陽光 が差した頃、どこかへ行ってしまってた。
あなたはいつも、俺のそばにいてくれていた。
なのに、俺はどうしてあなたから逃げていたのだろう。
あなたはいつか、遠くに行くかも知れない。
あなたは天見会を束ねる人だ。
あなたが、そばからいなくなった時。俺はひとりでいられるのだろうか。
涙をぬぐってくれる指も。
夜の間ずっと抱きしめてくれる腕も、温もりも。
ひとりぼっちの鼓動に重ねてくれる、胸の音ももういない。
……もういなくなった時、俺は……
この気持ち拒絶されたら。
気持ちを認めるのが怖かった。
「おやおや、急に甘えんぼさんになってしまったね」
こんなにも、そばにいる。
こんなにも、あなたの胸の音。
とくん、とくん
優しい温もりの音を奏でている。
左胸の音、温かい。
はだけた胸元
シャツをぎゅっと握りしめている。
皺になるのも構わずに。
(みっともなくてもいい)
あなたのそばにいたい。
ずっとずっと、いたい。
いっしょにいたい。
気づいてしまった気持ちが止められない。
「藤弥さん……」
俺……
あなたが……
「甘えるお前を抱きしめるのも悪くないから、秘密にしていたが……」
ちゅっ♥
唇が温かい。
(藤弥さんの……)
唇が、俺の唇に重なっている。
「兄弟でキスするかい?」
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