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5 いけない恋のデカダンス⑤
俺が………
あなたに………
(抱かれる)………
「嫌か?」
包まれた手の中で首を振る。
(嫌じゃない)
「……たぶん」
「自分の事なのに、他人事の返事だね」
フッと小さく笑ったあなたの吐息が、鎖骨にかかった。
俺の気持ちも、あなたの手の中で。
離す気なんかない癖に。
想いなんて、とっくに見透かしてる。
なのに、聞いてくるあなたは……
「こんなに優しくしているのにね」
吐息が触れる。深く……もっと深く……
「アフ、いじわる……」
「私が意地悪だって?じゃあ、ほんとうの意地悪を見せてあげよう」
吐息が深く触れた。
今度は浅く。
吐息を啄まれて、俺っ
(キスされてる★)
「ただのキスだと思ってるのかい?」
「え、でも……ファ」
吐息ごと奪われる。
舌が呼吸を乱して、クチュクチュ、チュクチュク、舌を絡めて掻き回る。
「私のキスだ。意地悪な私のね」
「とう…やさ……アフー」
チュウゥーと吸われて、酸素まで囚われていく。
口の中で舌が蠢く。
這い回る。
唾液ごと絡め取られる。
「答えてごらん。私に抱かれるのは嫌か?」
「いやじゃ……フゥ」
「嫌なのかい?」
「いやじゃ…なぁ~……ハフ」
唇が覆い被さる。
呼吸も唾液も舌も全部、奪って絡めて吸い取られる。
強引で、容赦なくて。
こんなキスされたら。
頭の中まで真っ白になって。
なにも返せない。言葉が出ない。伝えられない。
「アフフ~」
否定も肯定も、声さえ奪われる。
「困ったね。答えてくれないお前は、意地悪だ」
(そうさせてるのは、あなた!)
藤弥さん!
「フヒン」
唇が。舌が。
掻き回される俺の口許は、ベトベトだ。
唾液も飲み込めず、拭き取る事も許さない激しい口づけ。
「仕方のない子だ。お口で言えないのなら、態度で示してもらおうか?」
チュッ
音を立てて触れた唇に、鼓動が震えた。
YesかNoか
「Yesなら私を受け入れる準備をしようか」
「ハフ」
(それって、どんな……)
「大股開きだよ」
「アフフ?」
「分からないかい。自分でお股を開くんだ。私を受け入れる体勢をとるんだよ。
脚を広げて、たまらず先走りで濡れた脚の付け根を突き出して、勃起したイチモツを見せつけようか」
そんなの!!
「どうした?カウパーが垂らせないほど、お子様ではないだろう」
「フモモッ」
「セックスの格好だ」
「アムゥーっ」
(できないっ)
「できるね」
M字開脚……
不意に落ちた吐息が耳の裏をくすぐった。
「私が嫌いか」
「アムムぅ~」
(そうじゃなくって)
キスしながら首を振る。
「お前は意地悪だね」
意地悪なのは、藤弥さん!
意地悪を通り越してドSだ。
「ドSなお兄様はお気に召さないかい?」
チュルリ、と……
唾液に濡れた舌が、耳のひだを這った。
「……お前がドMになればいいんだよ」
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