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5 いけない恋のデカダンス⑦
俺はっ!
成り行きとはいったって。
(天見会組長の弟だ)
親の再婚ではあるにせよ。
……あ。
母さん離婚したんだ。
じゃ……
(天見会組長・元弟だ)
天見会のそこそこ立場ある人間が、大股開き。
天見会トップの前で剥き出しの股間をさらす。……それも自分の意志で見せつけるなんて!
「できるね」
(できない!)
「フモ」
「いいお返事だ!」
(ちがう。あなたが唇塞いだからっ)
勝手に俺の意志変えるな。
「お前ならできる!」
激励に変わったぞ、組長。
「私の目の前……そう。鼻先が付いてしまいそうな位置に、カウパーでしとどに濡れたお股のイチモツを見せておくれ」
ナッ
(あなたはなんて事、言うんだァァッ!!)
「……興奮してる癖に」
熱を帯びた吐息が耳の奥に吹き掛けた。
(息が)
呼吸がドクドクして、まるで鼓動が肺にとり憑いてしまったかのようだ。
ハァハァハァハア
「悔しかったらカウパー止めてごらん」
ハァハアハァハァ
できる訳ない。
この場所は理性のきかない本能の領域なんだ。
……先走りの止まらない俺の体は、悦んでいる……という事?
(そんな筈ない)
人目もはばかる格好させられて、藤弥さんに聞いてるだけで赤面する意地悪されてるのに。嬉しがってたら、淫乱ドMの変態だ。
それなのに。
(熱い)
熱がおさまらなくて。
脚の付け根の中心でそそりたつ場所。
雫を垂らす肉が、青筋を立ててビュクビュクする。
ドクドク、脈打つ。
「さぁ……もっと、お股を開いてごらん」
甘い誘惑の唇が臍に落ちた。
「そんな顔、するんじゃないよ」
腹の上から見上げてくる闇色の深い双瞳。
「私を煽っているのか」
(コレ!!)
俺よりもドクドク脈打つ強固な熱が当たる。
当たってる!
大きくて、熱くて、硬いヤツ。
ガチガチの雄の凶器……
「私のち」
「言うなっ」
「ちん……」
「言うなっつっとろうが」
「じゃあ、お前が言ってくれるかい?」
…………………………え。
「興奮して勃起している私自身の名称だ」
「ハフ」
「言わせてくれないなら、言ってもらうしかないね」
なぜ、そうなるっ!
「アフヒィーン」
「違う。お前にこすり付けているのは『アフヒィーン』ではないよ」
「ちがっ……フヒァアーン!」
「『フヒァアーン!』でもない」
違うんだ!
藤弥さんが……股間のおっきいの狂暴に擦ってくる度、変な声が漏れてしまうんだ。
「なんでッ」
「どうした?」
「こういう時に限って、口塞いでくれないんだ」
キスしてくれ!!
「嫌だ」
「どうして?」
「お前の喘ぎはそそるんだ。ふしだらで甘い」
「ウヒヒィーン!」
こんな変な声のどこがっ
また、あなたがソレこすり付けるから。
「おやおや。私の股ぐらに『ウヒヒィーン!』は生えていないよ」
「アヒ、ヒィヒィ」
声が勝手に。
我慢できない。
「お前。腰、振ってるね。私の『アヒ、ヒィヒィ』が当たって嬉しいかい?」
「ヒィヒィヒィ」
「お前の汁で私までズクズクだ。陰毛まで湿ってしまったよ」
(俺のせいじゃない)
「お漏らししたのは、お前だよ」
(これは……先走りだからぁ~)
「フヒフヒ」
「そうかい、そうかい。お股がお漏らしで気持ち悪いんだね」
妖艶に弧を描いた口許。
宵闇色のあなたの瞳に呼吸を奪われた。
「可愛い弟のお股は、お兄様が拭いてあげるよ」
鼻先と鼻先がくっついた至近距離で、吐息が駆けた。
「私は、天使のお兄様だよ」
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