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「あっ、蓮…。って、えぇ!な…な、何!その格好…!」 先に着いていた晴は初めて見る恋人の姿に驚きを隠せず、口をあんぐり開ける。扉を閉めると共に近づき、まじまじと下から上まで蓮の姿を目に写す。 舐め回す視線に耐え切れず、晴に手を出す。 「は、晴!これはな!…っ。」 慌てて弁解しようと手首を掴み、晴を見た蓮は動きをピタリと止める。そこには耳まで顔を赤く頬染め、目を逸らす恋人の姿があったからだ。 「晴?もしかして熱でもあるのか…?」 掴んだ手首を解くとはめていた手袋を取り払い、額へ手を移す。蓮がピタッと掌を当てた時には、自分の姿に対しての羞恥心なんてよりも晴への心配が遥かに上回っていた。 「んー…?熱って程でも無さそうだな。」 掌を離して頭の上にポンと置くと、晴の身長に合わせて腰を落とし自らの額をくっつける。 「無理、すんなよ?」 晴の顔は、更に赤く高揚する。 「れ、蓮…。」 「ん?」 震える唇で声を発すると、その声もまた震えていた。 「格好良すぎて…僕、どうしよう…。」 上目遣いで涙目の晴に吸い込まれるようにして、蓮は口づける。触れた晴の唇は何時もより熱く、半開きの口から舌を絡め取った。 「ん、ふ…んぅ…。」 晴の両頬に手を当てて顔を包み、幾度か角度を変えては絡む舌は離れないままだ。 「っ…ん、蓮…、っは…。」 「晴…。」 狭くて物が多い準備室に、唾液の混じる音が響き渡り二人の耳にも届けば、それも更に興奮する要因になった。

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