「太腿閉じて。」 「うっうぅ」 背後から尻を軽くたたき、性器を挟み込んだまま大腿を閉じさせる。 突き上げるように腰を振れば、春日が小さく悲鳴を上げた。 疑似挿入にも拘わらず春日は本番行為と同じように乱れ、兄崎は夢中になり腰をたたきつける。 「春日…裏筋すきだもんね。ほら、」 ぬるりと切っ先で春日の性器裏側をなぞってやると春日が震える手で、重なった性器を握る。上から手を重ね、上下に扱くと春日が腰を積極的に動かしてきた。 「あっあっ、ゆ、優紀…でる…イク」 肩越しに振り向いた春日の表情に性器がビクンと撥ね思わぬタイミングで熱を放出した。驚いた春日の頤をつかみ、背後から唇を奪う。 ぬぷぬぷと音を立てながら舌を絡め気だるさの残る体を鞭打ち、再び腰をゆすると瞳をぎゅっと閉じ春日もほど無くして達した。 荒く息を吐きながら崩れかけた体を背後から壁に押し付け、尻を突き出させる。 何度か性器をこすればあっというまに立ち上がった。 「ダメだって。やらないって言ったじゃねぇか」 「なぁ、すっぽかしちまえよ。」 「ざけ…んなっ！」 「友達と恋人どっちが大事んだよお前」 最低なセリフではあるが、目の前のえさに食らいつくことしか兄崎の頭にはない。 「え？俺ら恋人だったのか？てっきりただのセフレかと。あぁ、でもお前の体は俺の物。俺の体は俺の物だからセフレつぅ程上等のモンでもねぇな。ご主人様と性奴隷？」 「ざけんな！犯る！！ぜってぇヤってやる！」 「ちょ…バカ。いて」 「やってやってやりまくってやる。チキショウ」 「落ち着け！落ち着けって…っひぁ！」」 春日の尻を鷲掴みし双丘を左右に割り開くと、粘液で汚れた後孔が晒される。性器の切っ先 を押し当て腰を進めるが、つるりと滑るばかりで挿入には至らない。表面は濡らされていても解されていないそこは、異物を受け入れる事を拒む。 「春日、力抜いてろよ」 中指を這わせ、指先を小さな穴に潜らせると目の前の体がこわばった。 「いってぇよ。無理…だって」 ローションかジェルを使用し時間をかけ、ようやく挿入できる場所だ。簡単に異物を受け入れるはずはない。 「むり…」 春日の声がかすれている。 こんな風に余裕のない状態でしたことはない。 いつもはベッドの上、準備まで完璧に行ってから行為に挑むのだから。 閉ざされたクローゼットの向こう側にベッドがある。 冷静になればベッドが目の前になるのに、こんな場所で一体何をしているのかと笑いたくなる。しかし、薄暗く狭い中で窮屈な格好で密着して、露出した肌を汗まみれにするのは酷く興奮した。 背徳感だろうか、快楽には素直な彼が指を噛んで耐えてる姿は直ぐにでも射精できそうなほど、淫靡だ。 僅かに含ませた指を抜き去ると、春日は安堵の息を吐いた。 「いてぇよ。ばか…こういうのは、ゆっくりとするもんだろ。」 「春日」 唇を重ねようと抱き寄せた春日を我に返らせたのは、扉を強くノックする音と元気なフレデリックと更紗の呼び声だ。