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【22】どうしてこうなった

春日の口からそっと手を離すと、彼は慎重に音をたてないようにスラックスを持ち上げベルトを締める。 「サラ、なんか君良い匂いする。シャワー浴びた?」 「えぇ、まぁ。」 「…何で?」 クローゼットのドア越しに聞こえる二人の会話。 楽しそうだなオイ。 そのまま仲良く帰れ。 「今夜は帰しません帰りませんな展開の為に礼儀としてですね」 「ふーんそー。じゃぁ、綺麗になったか見てあげよう。」 「ああああ、着崩さないでくださいよ。」 「一回、お代官様ごっこしてみたかったんだぁ。」 「折角帯結んだのに…やめてくださいよ~」 おいおい、お前らなにしてんだ!? つーか、春日が興奮してるんですが。 兄崎は唖然とし二人の声を聞いた。 いやまじで帰れよ。兄崎の苛立ちは限界まで来ていた。 帰れ、いやお帰りくださいまじで。 「そぉーれー。」「あーれー。あああああああ。」 「あっはークルクルクルって回ったぜ!!」 「ひ、酷いです。酷いです。ううう…ぐすっ。」 「何だよ、乳首立たせてレイプ被害者みたいな目で見ないでよ。ちょっと触って帯ほどいただけじゃないか。」 「着崩れたじゃないですかああ。それより、やはり春日さんとは入れ違いじゃないんですか。」 「だったら、俺の携帯に泣きながら電話してくるはず。絶対部屋で倒れてると思ったんだけどなぁ。」 泣くのかよ。 部屋の中を歩き回ってるのだろう。 声が少しだけ遠くなる。 「おーいオズ―何処にいったんだー。おっ洗濯物」 「って、何貴方春日さんの下着被ってるんですか!」 「変態仮面。なんちゃって!あははは!はい、サラパース」 「投げないで下さい!でもこれは頂きますね。あ、この香りはソ●ラン!」 「何懐に入れてるんだ。返せ。それは俺が頂く中身のオズも勿論いただくつもりだけどね。」 「ちょっと!手を入れないでくださいよ。」 「まだ乳首立ってる。けしからんエロいなぁ。あーこの乳首の感触って好きだな。コリコリしてて面白いよね。オズの乳首もこんな感じなのかな」 「やだって…。うん、やだって…あっあっ」 「嫌だっていいながら君感じてない?別に俺そんなつもりないんだけどォ?」 「乳首…も、苛めないで。僕、ここ、弱くて」 「……。」 沈黙に気まずさが混じる。 どさりと音がして、「痛い。いきなり突き飛ばさないでください」と更紗の抗議の声が続く。 フレデリックに放り出されたのだろう。 「あー…此処?」「冷蔵庫は無いでしょうが。」 「クローゼットとかに居たら笑えるね。」 「もう、いい加減にしてくださいよ。」 「…電話も出ないしなぁ。」 「出ましょう」 「ねぇ、もしかしてユウキの所にいるんじゃない?」 「え?」 「あいつ、オズのこと狙ってるじゃないか。オズもあいつとは仲良いし。そういや今日だってさ、君がオズに声かけた時すっごい不満げだったし…」 「…なんと」 二人の声に不穏な色が混じる。 え?なにこれまずいよね。つーか早く出ていけ。 「もう一回鳴らしてみるか」 え? いや…まて早まるな。 【チャーララーンチャラリラリーチャーラーリーラーリー】 クローゼットの中足元にある春日の携帯電話が容赦なく呼び出し音を響かせる。 暴れん●将軍殺陣のテーマだった。 「…え?ねぇ、クローゼットから…」 「…服のポケットに入れたままハンガーにかけたんじゃないですか。」 「…あぁ、成程。でもさ」 three 気配が近づく。 「中で寝てたりして。」 「いえ、僕は兄崎さんのところにいると思いますね」 two 「よーし。ユウキを簀巻きにして裏庭の池に放り込もう」 one 「むしろ血祭りに」 zero ガチャ。 俺終わった。

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