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【21】お前ら実は仲良しだろ
「…居ませんね。というか、これバレたらまずいですよね。不法侵入です」
「はぁ?約束の時間になっても来ないんだから心優しい俺が迎えに来たんじゃない!携帯も繋がらないし、まったく!シャワーでも浴びてめかし込んでるのかと思えば…誰も居ないなんて如何いうことだ。やっぱり、あのまま行けばよかったのに、オズが着替えたいとかほざくから…!!しかも、何で君までおめかししてるの。」
「普段着ですが何か?」
「嘘付くなよ!何だよその恰好」
「僕の家和式なんですよ。普段着用に実家から学生マンションに入るときいくつか持ってきました。」
クローゼットの中からなので見ることができないが、和服でも着ているのだろうか。
「何が普段着だ。なんか明らかに生地が違うだろうが!」
「おぉ!お馬鹿な貴方でも分かりましたか。新調したんです!この日の為に!!!だってほら、いろいろしやすいでしょうこれ!!それに、彼日本文化に興味あると伺いました。!!ときめくと思います。きっと彼の血が騒ぐはず。ここに来る間もやたら留学生組は目を輝かせてましたからきっとうまくいくはず。帯ほどきたいとか思うはず。」
「畜生。あいつらめ!こんな民族衣装ひとつで惑わされやがって、これだから日本かぶれは嫌いなんだ。サラの卑怯もの!色気づきやがって!!狙いはオズの中に流れる日本かぶれの血かよ。 このくされビッチ。」
「春日さんならきっとこの生地に触りたがるはずです。そのまま…きっと…中身まで手が届き…ふふ…ぁあ、らめぇ!今夜は帰しません帰りませんな展開になるはず。僕オッサンの方が好きですけどあの人は別腹でいけます。どきどきですね!あ、貴方はお帰りくださいね。」
二人の会話に兄崎の口から魂がでそうになる。
お前ら、何しに来た。
喧嘩するならどっかいけ。
春日諦めて出ていけ。
「畜生。今夜は帰しません帰りませんなんてさせないからね。俺が触ってやる!」
「やだ、止めてください。ちょ…」
「はははは!確かにさわり心地良いね。あ、因みにさっき俺ポテトチップ食べたから。」
「え?えええ、晩御飯前なのに?いやそうじゃなくて、あっやめ…だめええええ!それ以上はっ」
「はははははは!!!ティッシュで拭いただけで油べとべとでサワーオニオンのにおい付だよ。ほーら、俺の爪をごらんよ。つやつやと光ってるよね?これはね、油なんだよ。あ・ぶ・ら」
「ッア――!!!許してええええ」
「そんなに解いてほしけりゃ俺がほどいてあげよう!帯だろ?これ引っ張れば良いの?」
「ぁあああああ!!!」
「あーっはっはっは!!!!」
更紗の叫び声とフレデリック=バートリーの笑い声が響く。
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