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第1話 視線
「お先に失礼します〜。」
「はい、お疲れ様ー。」
今日も夜勤の人と入れ替わりでコンビニのバイトを終えた。
始めたばっかの頃は、仕事がめちゃくちゃ多いし、分からない事だらけで客に怒られることもあったけど一年以上続けてる今はさすがにもう慣れた。
着替えを終えて店を出るといつもいる背丈の小さい男がいた。
.......またあいつだ。
フード付きのパーカーを被って、メガネとマスクをしている男。俺がシフト入ってる時はほぼ毎日店に来る、でも買うものはいつも子供の好きなキャラクターが彫られてるチョコひとつだけ。
格好は怪しいけどレジに来る時は 「お願いします」、終わった時は「ありがとうございます」って言ってくるから悪い奴ではないのは分かる。
.......でもひとつ気になることがある。
それは、俺が商品を受け取ってからお釣りを渡すまでの間、ずっと俺の顔を凝視してること。さすがにあそこまでジロジロ見られると気になって仕方ない。あまりに見てくるから、知り合いか?と思ったけど声を掛けられる訳でもなく顔もはっきり見えないからよく分からない。
壁によりかかって携帯をいじる名前も知らないあいつの横を通り過ぎて、視線を感じながら家に向かった。
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