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第26話*IFSA*

『STAFFONRY』 ボカーン! 「ねえ、ドアの修繕費ってどれくらいかしら?」 美鈴が近くにいた看護師に尋ねる。 「さあ、私にはちょっとわかりかねるところが」 「みすずちゃん!!」 「ツクモ、ドアの立て付けが悪くなってきているのだけれども?」 「そんなことどうでもいいし」 「あら、大事な問題だわ。請求書まわすわよ?」 「アオイくんに何言ったの?」 「アオイくん?」 「なんか俺、歩く下半身みたいに思われているんだけど?」 「あらやだ。本当のことじゃない」 美鈴はツクモの顔を上目づかいでのぞき込み、 「歩く下半身みたいなことしたんじゃないの?」 全身が固まるツクモ。 「あー・・えー・・」 コイツ・・しでかしたわね?けしかけたけど、呆れたわ。 「まあいいわ。それなら私キューピットさんね」 「じゃあキューピットさんからラブレターよ」 ペラリと美鈴がツクモに書類を渡す。 「んあ・・あ?IFSAの受け入れ?」 「なにこれ?みすずちゃん」 「書類の通りよ。IFSAから研修として新人を受け入れるの。主に葬儀場だけどツクモも リストに入っているわ」 「は?冗談だろ」 「もう決まったことだから観念して。でもその子はすごくラッキーね。ツクモの腕を 間近で見られて」 ツクモは頭をかきながらすごく不満そうに椅子の背もたれに力を入れる。 「あのさあ、ウチは外場所じゃなくて自宅に処置室作っているの知ってるでしょう? 他人がボカボカ入られても嫌なんだけど」 「そのスタイルを選んだのはあなただわ。十夜くんの所を断ったんだもの。だから私たち 山切先生のところに行ったんじゃない」 IFSA・・日本遺体衛生保全協会。ここに認定されている学校で学ばないと     エンバーミングはできない。国家資格ではない。     ツクモはアメリカで習得しているので、アメリカでは国家資格がある。

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