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第28話*長谷川友美*

ピンポーン チャイムが鳴る。 ピンポーン ツクモの知り合いはだいたい一回鳴らして勝手に入って来るので部外者の可能性が高い。 「んあ!誰だよ!」  玄関に向かってリビングのソファからツクモが怒鳴る。 静かに玄関が開き、スーツ姿の若い女性が入ってきた。 「失礼します。IFSAの研修生としてまいりました。長谷川友美です」 「あ?あー。あんたがみすずちゃんの言ってたヒヨコの研修ね」  だるそうに長谷川の言葉を流す。 「実績数は少ないですが、ヒヨコは心外です。エンバーマーとして学べるものは学んできました」 「はー。日本じゃ国家資格でもないし、医学部とかで医者になった方がよかったんじゃないの?」 「私は医者になりたくてこの道を選んだわけでは・・」 「とりあえずさー」  長谷川の主張を遮るようにツクモが口をはさむ。 「何かあったら東って奴に連絡させるから、そいつんち葬儀屋でいつもやっているところだから。まあ、みすずちゃんでも連絡はつくけどさ」 「それとも連絡先、俺じゃないとやだーとか言って泣く?」  ムッときて長谷川は、 「わかりました。では東さんからのご連絡を待てばよろしいのですね。どうぞ、よろしくお願いします」  そう言って長谷川は厳しい顔で出ていった。 「んーあー。めんどくせえよ、みすずちゃん」    

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