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第65話*これからの日々に*

「うーん」 ツクモは何度も時計を見返す。 「何度見ても時間は早まらないわよ。ツクモ」 「時間は合っているんだろう?」 すると窓から影が見えて、勢いよくドアを開けてアオイが飛び込んできた。 「ツクモさん!合格しました」 「おめでとうアオイくん」 ツクモは思いきりアオイを抱きしめた。 今日のために集まったみんなもアオイに拍手を送っていた。 「ありがとうございます。ありがとうございます。皆さんの応援のおかげです!」 そしてアオイは少しモジモジして・・ 「実は皆さんにご報告があります」 ツクモが一瞬で察して・・ 「ア、アオイくん・・」 「俺、ツクモさんと結婚します!ツクモさんが俺のお嫁さんになります」 一瞬でその場の空気が凍った。 みすずはこの日のためのフェラガモのヒールでツクモの頭を狙う。十夜はみすずから少し離れて眼鏡を拭き始める。他のメンバーはツクモとアオイに落ちる鉄拳に怯えていた。 「このどアホう!!海馬を差し出せえ!!」 「ちょっとみすずちゃんそれ、側頭葉ぶった切り!ていうか俺がプロポーズ受けたの!俺が嫁なの」 みすずがキッとアオイを見ると、ちょっと怯えながらも照れて、 「はい。お嫁さんになって欲しいって言いました」 「ほらな?合意だろ?」 「未成年は合意じゃないわよ!!」 「まあまあお祝い事が重なってなんて素敵な事でしょう」 嬉しそうにサリーがみすずとツクモの間に割って入る。 「さあ、冷めないうちにお食事にしましょう?」 「あ、じゃあこのホールケーキ二人でカットしますか?」 珍しくひつじが気の利いたことを言う。 「羊子さん!」 みすずの血管は何本か切れているのではないだろうか? 「泉守」 「なによ十夜!」 「ツクモを見ろよ。あんなに柔らかい顔になったのはあの子のせいか?」 みすずは少し悔しそうに、 「そうね。アオイくんがツクモをあの時から連れ戻してきてくれたわ・・」 「ハッピーエンドって奴か?」 「そんな訳あるか!山切先生にバレないように、あと二年・・成人するまで・・」 みすずがぶつぶつとつぶやきだす。 「こらー!そこー!ファーストバイトなんかしない!!」

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