1 / 8
01
世間のいうイケメンは目鼻立ちがくっきりしており、脚が長くて顔が小さいのを指すことが多い。一九○センチのオレはその類に分類されるらしい。
「ホワイトプリンス!」
「……なに?」
生まれつき白髪のせいか入学と同時につけられたあだ名。あいにくだがオレは気に入ってない。しかもプリンスってやめて欲しい。
振り返るとツインテール姿のメイドの女子がいた。内股でモジモジさせ、あーだのうーだの言ってる。呆れる。言いたいことはハッキリ言えばいいのに。もう一度「だからなに?」と催促した。
「その…、私たちのお店に入りませんか!?」
「いやいや、それならアタシのところが!」
「こっちは半額…いや、タダにしますよ!」
どこから出てきたのかゾンビメイクの子やスポーティーな格好をした子も集まり、キャッキャと騒ぐ小鳥たち(いや、失礼)がオレの腕や服を引っ張る。痛い。
だが、イケメンには特権がある。そのせいで恋人も選り取りみどりと呼ばれるのかもしれないが。
「すみません。オレ、大事な人を待たせているんで。けど、誘って貰って嬉しかったよ。あと、喧嘩しちゃ可愛い姿が台無しだから……ね。」
「「きゃあああ!!!!」」
(あー……痛かった)
オレはズレたグレーのブレザーを直し、あの子が待つ場所へと向かった。
ともだちにシェアしよう!