17 / 17
クリスマスSS 7
「仕事で疲れて帰ってきた時に、棗の顔を見れるだけで幸せなんだ。それに、お前はまだ若いし、可愛いし、違う世界に旅立ってしまう前に芽を摘み取っておかないと、もう心配で心配で」
「ば、ばかじゃねえの」
真っ赤になってごまかすように俯くと、和巳が「返事は」と言葉を促す。
奇麗なだけじゃない、エゴイスティックな動機までさらりと告白され、棗はひどく安心していた。
自分だって誰にも和巳をとられたくない。
それを堂々と主張していいなら、何も持たない自分でも、そうできる立場になりたい。
「……あんたが好きだ。俺と結婚してください」
どこにでも転がっている月並みな言葉だったが、まっすぐに言い切った。
もう返事というより、棗からプロポーズしたみたいになっている。
感極まった和巳が棗の顎を掴み、「愛してる」と囁いて口付けた。
チキンのせいで口の周りが油っぽくなっているのに、と情緒のないことを考えていると、和巳が唇をぺろりと舐め、いたずらっぽく微笑んだ。
「クリスマスが終わったら、二人で婚姻届とりに行こうな」
【END】
ともだちにシェアしよう!