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抱いて 濡れて 溺れて 2

* 「明けましておめでとうございます!」 隣に座っている美影ちゃんが元気いっぱいの声で挨拶をする。 美影ちゃんは昨日までモデルの仕事をしていたので、家に帰って来たのは夜半すぎだった。 それから寝たのに何でこんなに元気なんだろう。 ボクなんか悠貴さんと逢えなくなっちゃったから、何もする気になれなくて、お父さんとお母さんと紅白歌合戦見て寝ちゃったのに。 普段あまり寝る時間が取れないこともあって、やっと起きれたのは10時を過ぎてからだった。 起きて階下に下りてきたら、既に起きていた美影ちゃんに捕まって、無理やり着替えさせられて、ダイニングキッチンの椅子に並んで座らされている。 美影ちゃんは元旦にしか着ない、赤地に白い牡丹をあしらった振り袖を着て、長い髪を結い上げて、梅のかんざしを刺している。 お父さんも袴を着てるし、お母さんも留袖を着ている。 元旦だけはこうして和服を着ることにしているのが、花織家なのだ。 一番上の姉、魅華ちゃんは一昨日から彼氏と海外旅行に行ってしまったので、今年は4人でのお正月になった。 テーブルにはお母さんが何日もかけて作ったお節が、お重に綺麗に詰められて並んでいる。 元旦からお節を食べ続けて、なくなるまで食べるのが決まり事になっているので、毎年恒例の光景だった。 そして・・・。 「はい、明けましておめでとうございます。やっぱり着物はいいわねぇ。二人ともすごく可愛い」 目の前に座っている母が、嬉しそうににっこり微笑む。 もう50歳近いのにお母さんはくっきり二重の美人だから、年齢よりも若く見える。 隣に座るお父さんは、お母さんと同い年のはずなのに、白髪も目立ってきてしまい、若干老けて見えてしまう。 お父さんがボクと美影ちゃんを見ながら、嬉しそうにお母さんの言葉に頷きながら、日本酒を一口飲む。

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