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抱いて 濡れて 溺れて 14
着物にコーヒーがかからないように、注意しながら少しずつ飲んでいるボクを、悠貴さんは微笑みながら見ていて。
あんまり見られているので、何だか恥ずかしくなってきた時に、
「薫・・・ここに、一緒に住んでくれないか?」
と、いきなり言った。
「え・・・?!」
驚いて振り向くと、悠貴さんはマグカップをテーブルに置くと、上半身ごとボクの方に向き直って、真剣な表情で言う。
「もうダメなんだ。薫がいないことに堪えられない。病院で会えてもわずかな時間で・・・会えないことの方が多い。でも、一緒に暮らしてれば、一緒にいられる時間が、今よりは増える」
「悠貴さん・・・」
「毎日、薫の顔が見たい。声が聞きたい。抱きしめて眠りたい。ダメか?」
ボクもマグカップをテーブルに置いて、悠貴さんを真っ直ぐ見つめた。
勢いよく頭を振って、気持ちを紡ぐ。
「ボクも・・・そう思ってました。一緒に暮らせたら、今より・・・一緒にいられるって・・・。悠貴さんが同じこと思ってくれてて、嬉しい」
「薫・・・」
悠貴さんの大きな温かい手が、頬に触れた。
包み込むように両頬に触れて、いきなり覆い被さるように口吻けをされた。
苦い・・・コーヒーの味がする・・。
悠貴さんはキスをしたまま、ボクの背中を押して、ソファの背もたれに寄りかからせると、更に深く、深い口吻けをする。
帯がソファと体に挟まれて、背中が痛い。
それでも、ボクは悠貴さんを押しのけられなくて、キスをして欲しくて。
悠貴さんの体重を感じていた。
うっとりを瞳を閉じて、悠貴さんの舌に舌を搦める。
唾液の立てる音が、頭の中で反響してる。
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