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第4話

 彼の精液は顔まで飛び散っていてひどい有様だった。  赤羽は自分のを抜くと、ベッドサイドにあったティッシュで甲斐の顔に飛んだそれをぬぐおうとしたが、その手をぴしっ、とはじかれた。 「もういいから。」  先程まで自分の下で熱い声であえいでいたのとは全く違う、冷たい声。  汚れた身体のまま起き上がるとバスルームへと向かっていった。 「お背中流しましょうか?」  答えはいつも決まっていたが、下の者として聞かないわけには行かない。 「いい。」  そう言い残し、彼はバスルームへと入っていった。  行為の後はまるでそれまでの彼の行動が嘘だったみたいに淡々とした調子になる。  俺は自分の身体をそこにあったティッシュで汚れを拭き取ると、彼のウォークインクローゼットになっている場所に入った。そこにあったタオルを腰に巻く。  そして真新しいスーツと下着やタオルなどを取り出す。  シーツの場所なども心得ていて甲斐が出てくるまでにすべての用意を調える。  彼はかっこよく決まっているということがステータスだった。なので少しの乱れも許されない。  カタン、とバスルームのドアが開く音がする。 「入ります。」 「あぁ。」  俺はすかさず真新しいバスタオルを持って彼の元へ行く。  汗を流した身体を綺麗に拭いていく。  パンッと彼が自分の頬をたたいた音がした。  これは一種の気合い入れのようなもので毎回のことだった。  その音の後から、彼は伊達会の若頭の甲斐となる。  彼の身体から水滴をすべてぬぐいさると、「もういい」というように彼はバスルームを出て行った。  俺もこのままでは部屋からでれない。 「すみません、シャワー失礼します。」  そうとだけ告げると、俺はバスルームに入っていき手短に身体の汗を流した。彼を待たせる時間ももったいない。  次の仕事が待っているのだから。  そうして二人は夜の街へと向かった。

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