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閑話 そんな俺に訪れたまさかの事態。
想像と違いすぎた圭人の保護者に俺の心は死にそうだ。
圭人が俺より大切なものがあるというのを見せつけられてしまった。口調は軽いが声は格好いい、耳が落ち着かない低音。
圭人が照れたように足をパタパタさせたりしながら、話をしているのが俺の心に深いダメージを与えた。かわいい、文句なくかわいい。だからこそ、その姿を引き出したのが自分じゃないのが許せない。これを見て嫉妬するなとは無理な話だ。
「圭人の保護者ってどういう人?」
「鬼畜俺様性欲魔人?」
「何それ、詳しく」
「愛人とかセフレみたいなのが大量にいる。モテるから男女関係なし」
「本当に?」
「汚れたシーツとかオレが片づけてたから」
「それ虐待だよ。つらくなかった?」
「なにが?」
心底わからないという顔をする圭人。小さな子供に、いや大きくなってからかもしれないけど圭人に汚れた大人の性欲を見せつけるなんて最低だ。
「お前もオレを抱いてるんだから分かるだろ。オレが初めてでも知識が全くないわけじゃないって」
知識の仕入先が保護者の爛れた生活のせいなんて考えるわけもない。
確かに圭人がいろいろと知っているのは不自然だとは思っていた。
耳年増なタイプなんだと思っていた。
そう思いたかっただけだ。
圭人を取り巻く現実が痛い。
これは宗教がないとやっていけないかもしれない。
幸い、保護者に汚されるようなことはされてないみたいだけど遅かれ早かれ、いずれはというのが感じられる声だった。声だけで孕むと言われるような甘ったるい低音の囁き。あれが保護者との会話だなんて信じられない。
何か言いたい気分だが何を言えばいいのか分からずに圭人を見つめる。そのうち涙腺が緩んできた。圭人は俺よりも先程の電話の相手を取る、それが圭人だと思った。
「それでも俺は圭人が好きなんだ」
少し困った顔を見せた圭人は「ありがとう」と言いつつゲームをし始めた。酷い。でも、そんなところも好き。
無表情だが楽しげにゲームをする圭人を邪魔する気はない。
ゲーム画面を覗き見られると集中できないからやめろと言われたことがあるので俺はちゃんと守って圭人がゲームしている時は画面を見ない。ゲーム中に中断させたりはしないけれど最初からゲームを出来ないように圭人の手の届く範囲内にケータイを置かないようにしたりはしている。
玄関のチャイムの音にエビとパフェを思い出した。
パエリアを作って圭人にあーんして食べさせながら、エッチなことをいっぱいしよう。圭人は食べる前にエッチなことをすると不機嫌になる。
けど食べながらだったら許してくれる。
上手く食べられないと言いながらモグモグしてる姿は最高にかわいい。ご飯をもっともっととねだる圭人に俺の腰の動きは加速する。お腹いっぱいになって動けないという圭人をお風呂の入れてあげたり、その場で全身舐めたりいちゃいちゃするのが好き。力が抜けて俺に全てを任せてくれる圭人はかわいすぎる。
この姿は保護者は見たことがないのだと思うと俺の方が圭人を知っているんじゃないのかと気持ちに余裕が出てくる。圭人が乱れるのは俺の前でだけ。親兄弟に嫉妬するなんて見苦しいことを俺はしない。圭人が幸せなら保護者との同衾だって許すのが心の広い夫だろう。
俺は軽い気持ちで扉を開けた。生徒会長の部屋には過去にトラブルがあったからか外をモニタで確認できるようになっている。だが、見もしなかった。俺はやって来たのが自分の親衛隊長、左岸だと疑いもしない。そんな俺に訪れたまさかの事態。
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扉を開けた先には――
→A:生徒会役員が転入生と一緒に現れた。
B:見たこともない人がいる!? あれ、この声は?
C:届いた宅配便は圭人と試そうと思ったエッチな道具が満載だ。
ABCどれがくるのか、どれもこないのか。
果たして会長の明日はどっち!?
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