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第5話

「あ、じゃあ早速うち連れていく?世話の仕方とかも教えてほしいし!」 俺がそう言うと恭介は「ん。」と頷いた。 俺の家に向かう途中、2人でペットショップに寄ってキャットフードやトイレシーツなど必要なものを恭介に教えて貰いながら揃えていった。 「うわ〜、やっと着いた〜!」 たくさんの荷物を持っていたせいか、家に着く頃には体力のない俺はヘトヘトになっていた。 恭介の方は、みーこの入った段ボールだけでなくペットショップで買った荷物も少し持ってくれていて、確実に俺より重いものを運んできたはずなのに汗ひとつかいてない涼しげな表情をしていて、イケメンはどこまでもイケメンなのかと横顔を見ながら自分との違いにがっかりした。 「優真、使い方教える」 そう言うと買ってきたものの使い方やエサのあげ方など世話の仕方を丁寧に教えてくれた。 俺はそれをメモしながら、この人はほんとに優しくて綺麗だなと改めて感じていた。 一通り作業が終わるともう日が暮れていた。 みーこを段ボールから出してやると新しい場所に緊張しているのかおそるおそる俺の部屋を探索し始めた。 「ほんとにありがとう。これで安心だ。」 恭介は優しい顔でみーこを見つめながらそう言った。 「いや、俺なんかが飼っちゃって申し訳ないくらいだよ。逆に預けてくれてありがとう。」 俺がそう言うと恭介はじっと俺の方を見た。 突然、やっぱりまだ見慣れない綺麗な顔に見つめられてすごく落ち着かなかったが、目をそらす訳にもいかず、「自然体自然体〜!」と心で唱えていると恭介がさらにずいっと俺の方に近づいてきた。 それには俺の心臓もさすがにもたなくて顔が熱くなるのが分かった。 「き、きょうすけ、そんなに俺のこと見てど、どうしたの?」 ドキドキしてるのを悟られないように平然を装って言ったが声が震えてしまった。 すると恭介がこちらに手を伸ばしてくる。 もう俺が持たなかった。ぎゅっと目をつぶって何が起こるか構えていると、頭に何か触れるのを感じた。 おそるおそる目を開けると、恭介が近くで微笑みながら俺の頭をくしゃくしゃ撫でていた。 「ふえ?きょうすけ、なんで撫でてるの?」 びっくりして聞くと、恭介はニコッとして言った。 「可愛かった。みーこみたい。」 「え?みーこ?俺?どこが?」 俺は拍子抜けして聞いた。そういえば、最初に話した時俺がみーこに似ていると言っていたのを思い出した。 「毛がふわふわしてて、素直でかわいい」 ふわふわ...?素直?かわいい?俺はそんなんじゃないぞと思いキョトンとしてしまった。 すると恭介は頭を撫でていた手をほっぺたに持ってきて優しく触れた。 「お前といると落ち着くんだ。会ったばかりなのに。俺、優真のこともっと知りたい。」 この綺麗な顔で、綺麗な声で甘く優しく囁くものだから、俺は告白でもされたみたいな気分になった。 「ふええ!?あ、うん、う、嬉しい!お、俺も恭介ともっと仲良くなりたい...!」 テンパりながらも一生懸命答えると、恭介は頬に触れていた手をスルッと離し、もう一度俺の頭をよしよしと軽く撫でて「うん、よろしく。」と微笑んだ。 もう俺の心臓はバックバクだった。 (もうやだイケメンこわい...) 無自覚ほど恐ろしいものはない。それを身をもって経験した俺は心の中で呟いていた。

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