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転校生 1

ガヤガヤと騒がしい教室内。 いつもの見慣れた光景。 いつもの見慣れた顔触れ。 「おはよう」 「「はよー」」 席に向かうと自然と集まってくるのは 代わり映えのないメンツ。 「なな、昨日のあのテレビ見た?」 「見た見た!めっちゃ面白かったー!」 「春翔は?」 「僕も見た、あれ面白いね」 とにかく無邪気で明るくて、突っ走りがちだけど友達思いな東雲 奏多(しののめ かなた)。 突っ走りしがちな奏多のコントローラーで、みんなによく頼られてる露騎 暁(つゆき あかつき)。 クラスの子達には『しのりん』『つっきー』なんて愛称で呼ばれてる、数週間前に出来た僕の大切な友人達だ。 高校へ入学して早くももうすぐ1ヶ月。 意外とあっという間だった。 『なぁ、名前なんて言うの??』 『ぁ、えと、華山春翔…です』 『かやまはると、か…んじゃーかやっち!』 『ぇ』 『ごめんな、こいつ直ぐ人にあだ名つけたがるから』 『わり、わり。仲良くしよーぜ!俺、東雲 奏多』 『俺は露騎 暁。好きに呼んでくれていいから』 入学式の日、近くの席だった2人が声をかけてくれたおかげで僕はボッチを回避。 2人のおかげでクラス内でもあだ名で覚えてもらえて。 なんとか新しい環境にも慣れてきた。 奏多と暁は幼馴染らしくすごく仲が良い。 家もお隣さんで、幼小中とずっと一緒らしい。 加えて性格の明るさからクラスの中心にいる存在。 そこに自分が入ることに抵抗がなかったかと言われると答えはノー。 こんな僕なんかが、って気持ち。 一緒にいさせてもらえるなんて畏れ多い。 だけど、正直2人が声をかけてくれて良かったと思ってる。 ホームルームまでいつもみたいにくだらない話しして。 今日放課後どっか行こーなんて予定立てて。 いつもと変わらない日々の一コマ。 担任の先生が来るまで、 この教室にいる誰もがそう思っていたに違いない。 「はーい、席つけ〜今日は紹介しなきゃいけない奴がいるからさっさと始めるぞー」 クラス名簿で肩を叩きながら入ってきた担任の先生—— 八木先生の一声で僕らのざわめきが一段と大きくなった。

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