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放課後初日
それからの放課後はというと。
僕らは約束通り夕陽くんに校内を案内していた。
めげずに遊びに誘う女子達から引き剥がすのに一苦労。
暁がいなかったらどうなってたか…と思うと恐ろしい。
案内くらいすぐ終わるだろう、なんて思ってた。
けれども初めて見るものが多い夕陽くんは色々なものに興味津々。
質問ばかりで全く案内が進まない結果、毎日少しずつ案内しようとなった。
教室、保健室、職員室、音楽室、美術室。
トイレ、昇降口、体育館、中庭。
あと部活のことも説明が要りそうだ。
案内が終わった後は帰りがてら色んなところに寄り道。
夕陽くんの希望で初日の今日はファーストフード店。
お喋りすることになった。
海外だったらもっと美味しいものあったんじゃない?なんて思ったけど。
「まくどなるど、ってとこに行ってみたい!!」
と目を輝かせて言う彼。
他にないの?なんて最初は説得しようとしてた奏多も
「ぽてと、ぽてとっ」と輝かせる瞳についに折れた。
「まー、あそこなら長居できるし。これから色んなところ行けばいいんだし…いいんじゃない?」
「まー…そうだな!」
「僕も賛成」
「じゃ、決まれば行くのみ!」
「やった!ぽてと!」
お互いのことを知るいい機会になる。
そう思って僕も賛成した。
それに、夕陽くんの嬉しそうな顔を見ると僕までなんだか嬉しくなる。
よかったね、と僕が言うとすごくキラキラした笑顔で応えた夕陽くん。
そんなキラキラした顔がちょっと眩しくもあるけど。
やっぱり、なんか嬉しい。
奏多や暁とも出会ってまだ数週間。
夕陽くんも出会ったばかり。
僕はまだまだ友人達のことを知らなさすぎる。
沢山話したい。
頑張って喋らなきゃ。
決意を胸に、
踊る心に身を任せて僕は昇降口から足を踏み出した。
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