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その意味は
「あーー!まーたそうやって苗字呼びする!ダメ!!」
「こういうのは慣れだって、俺らの時も言ったのに…」
「だ、だって…」
「「だってじゃない!!!」」
けれどそんな殻を破ってくれるのが僕の友人達。
情けなくしっぽを巻いた俺の殻を容赦なく叩き割る。
「二人の言うとおり、慣れだよ。ほら、呼んでみて」
ねっ、と真正面から見つめられて喉がつまる。
や、…そんなキラキラした目で見ないで………
「ねぇ、早く。俺、春翔に名前呼ばれたい」
「ぅ…ぁ……えと、」
「ほーら、お願いっ」
お願い、なんて言って小さく傾げる霜つ…夕陽くん。
ああ……ずるい。
「…っ、…ゆ、……ゆう、ひ……くん…っ」
でも呼び捨てなんてできっこなくて。
思わず最後に君付けした。
恥ずかしい、恥ずかしい、恥ずかしい。
名前呼んだだけなのに。
ぶわって一気に顔が熱くなる。
我慢ならなくて「ぁぁあ、むりぃ…」と両手で顔を隠した。
それでも「まー上出来じゃん」と奏多。
「まー頑張ったんじゃない」と暁。
そして当の本人。
顔を覆う指の隙間からチラ見すると。
心底嬉しそうに万遍の笑みを浮かべていた。
こんなので喜んでくれるなら…まぁ悪くないかもしれない。
……なんて呑気に頬を緩ませてると。
「へへっ、俺、嬉しい。春翔、好き」
「へ…、ぇえ!?」
突然の爆弾発言に飛び跳ねる。
それは…友達として?それとも……
っていや、その方面はないか。
僕男だし、夕陽くんも男だし。
「奏多も、好き。暁も、好き」
一人びっくりしてる間に続いた夕陽くんの言葉に、帰国子女特有の”like”ってやつだと納得する。
やっぱ、そっち方面な訳なかっ……
「……けど、春翔……特別」
「っ!」
さらに続いた言葉。
特別、という言葉に猛烈に心臓が動く速度を早める。
「初めて会った時から、春翔は俺の特別」
太陽に照らされて柔らかく笑う君。
まるで心臓を鷲掴みにされたみたいにぎゅっとする。
その意味は一体どういう意味ですか……?
僕の心に大きなモヤを残したまま、
昼休みの終わりを告げる音が鳴る。
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