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マランタンデュ(4)

 きつい目元が真っ赤に染まっている。 「ここ、柔らかいね。自分でほぐしたの?」 「ん、そんなこと、きくな」  亮汰は受け入れる側の方なのか。この中に自分以外に誰を受け入れたのかと嫉妬してしまう。 「はぁ、もう、平気だから」 「ダメ。質問に答えてない。ねぇ、何人の男を咥えたの?」  亮汰の良いところにあたり、身体が跳ねる。 「ここは、許してない、から」 「亮汰の初めて、俺が奪っていいの?」  恋人ではなく、ただの従兄でしかない自分が、と。 「隆也さんならいいって、言った」  亮汰の腕が首に回り引き寄せられる。 「初めては隆也さんにって」  そういってニカっと笑う。  本当に心を惑わせてくれる。 「亮汰ぁ、そんな可愛いことを言ってくれるなよ」 「ん、嬉しいのか?」  おっきくなってるぞと足を動かして下半身のモノをなでる。 「ちょっと、煽らないで」 「もう、余裕がないんだよ、俺が」  確かに膨れ上がっているモノが、たらたらと蜜を流していた。 「そうだね」  とはいいつつ、自分も余裕はなかった。下を脱ぐと亮汰の視線を感じた。  期待されているのか、亮汰の後孔にかたいモノをおしあてると、ふるりと震えた。 「はぁ、たかやさん」  ほしい、見つめる目がそう訴えかけているよう。 「亮汰、お兄ちゃん、だろ?」  この前みたく呼んでよと、唇を指でなぞると、目を見開いて顔を真っ赤にする。 「ほら、言わないと、入れてあげないよ」  目を細めて口角を上げると、亮汰がもごもごと口を動かしてため息をつく。 「意地悪なこと、しないで」 「そんなこという子にはあげないよ?」  押し当てていたモノを離すと、亮汰があっと声を上げた。 「どうする、亮汰」 「隆也さん……、隆也お兄ちゃん」  お兄ちゃんの部分はもごもごとしていたが、まぁ、今はそれが精いっぱいだろう。 「よくできました」  足を開き、隆也のそそり立つモノを挿入する。 「ひぃっ」  少し狭かったか、亮汰の顔が辛そうだ。 「亮汰、大丈夫か」 「だいじょうぶ、だから、やめないで」 「ん、すぐによくしてあげるからな」  奥までつながり、それに亮汰がほっと息を吐く。  そこまでだ。理性を保てたのは。  あとは欲のまま、亮汰の中を乱した。  とろんと蕩けた表情を浮かべた亮汰は、自然と隆也のことをお兄ちゃん呼びしていた。 「あぁっ、隆也お兄ちゃん」  ぴゅるっと白濁が飛び散り身体を濡らす。 「亮汰、上手にできたね」  中から抜き取り、ベッドへと横になると、亮汰が身を起こした。 「隆也さんって、意外と良い身体をしているのな」 「何、中年太りしていると思ってたの?」 「だって、前にしたときは脱がなかったから。隠しておきたかったのかと思って」  少しでもかっこいい従兄(じゅうけい)でいたいから、そこらへんは気を付けていた。 「亮汰に幻滅されたくないからね」 「そうだな。だらしない身体をしていたら空手道場に連れて行ったかも」  流石に空手は無理だなと、気を付けていてよかったと胸をなでおろすと、亮汰がにやにやとしながら隆也の腹筋を撫でた。 「ん、亮汰、くすぐったい」  熱はまだ残っていて、はぁ、と息を吐くと、亮汰が隆也にキスをする。 「かっこいいだけじゃなく色気もあるよな、隆也さんって」  そのまま抱き着いて胸に頬をくっつける。 「亮汰のほうこそ、かっこよくて色っぽいよ」 「ん……、そういってもらえて、うれしい」  髪をなでていると、そのうち寝息が聞こえてきた。 「寝ちゃったか」  自分の腕の中で眠る姿に、幸せを噛みしめ隆也も目を閉じた。  亮汰が生まれる日が楽しみだった。自分には姉しかおらず、弟か妹が欲しかったからだ。  はじめて会った亮汰は小さくてとてもかわいい、マシュマロみたいに柔らかなほっぺをしていた。  初めて指を握りしめられたときは、すごくうれしかった。  言葉を覚え、にーにと呼ばれるようになり、後をついて回るようになった。  かわいくて、いとおしくて、暇さえあれば亮汰に会いにきた。 「たかやおにいちゃん、だいすき」  ほっぺたをくっつけて、そういわれるたびに、気持ちが高ぶり抱きしめた。  母親と伯母が、仲良しね、本当の兄弟みたいと口にするたびに、兄貴面をしたものだ。 「すごくおいしいよ」  口に食べかすをつけながらおやつを頬張る。失敗しても亮汰はまずいと言わない。全部平らげて、 「またつくってね」  約束だよと指切りをした。  はじめて性に目覚めたときは、顔を真っ赤に染め、目に涙を浮かべて、 「隆也お兄ちゃん、俺の身体、おかしいんだ」  と綺麗な色を晒し、それを隆也の手で色つかせた。  可愛いくてピュアな亮汰を汚してしまいそうで逃げたというのに、今、自分の腕の中にいるのだ。 (亮汰、愛してる。だから俺のものになって……)  二度と離したくない。自分の中に閉じ込めておきたい。亮汰が望まない限りはしてはいけないことだとわかっていても、そう思わずにいられなかった。 <了>

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