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第1話

食器の洗い物を終えた俺は、ついでにシンクをお酢入りの洗剤で洗い流し、コンロ、換気扇、キッチンの床まで専用の洗剤を使って拭き掃除した。 「…ふう、こんなもんか」 俺は掃除した箇所を眺め、満足気に呟く。 綺麗になると気持ちがいい。 …ハズなのだが、イライラは晴れなかった。 「くっそ、真珠のヤロウ。勝手な事ばかり言いやがって」 『…マジュ(女王様)。お前の告白には応えられない。だが、俺以外のヤツとは絶対ヤるな』 そう言って真珠は俺に食事の片付けを押し付け仕事に行ってしまったのだ。 ――俺と真珠は全く同じ姿をしている。 『真珠』という人間が分裂したのか、パラレルワールドからもう一人の『真珠』が現れたのか…。 理由は分からないが『俺』は真珠の前に現れた。真珠への恋心と、共に――。 俺はソファにドカッと腰かけ、TVのリモコンを手に取ると適当に番組を付けチャンネルを回した。 『…はい。今日のイチオシは水圧洗浄機でした。コレひとつあれば掃除の幅が広がりますよね』 ちょうど通販のコーナーが終わる所だったが、掃除と聞いて俺は一瞬で気持ちを持っていかれた。 「…水圧洗浄機だと?あの水の力で汚れを落とすやつか」 TV画面では、フリーダイヤルが表示され最後の視聴者への煽りが終わって番組の司会者へと画面が切り替わっていた。 「…0120-117-XXXX…」 気がつけば俺はフリーダイヤルをメモしていた。 「30分以内に電話すれば、付属の掃除道具が付き、更に値段もお得……」 普段の買い物では、ここまで気にする事もないのだが、掃除道具となれば話は別だ。 水圧洗浄機も前から欲しいと思っていた。 「……」 ……結局、俺は注文の電話をしてしまった。 「ふ、最短で明日の夕方か」 妙に気持ちが高揚している。サンタのプレゼントを待つ子供みたいだ。 「よし、明日存分にスイアツを使ってやる為に今のうち他を終わらせておくか」 そう意気込むと俺はソファから立ち上がった。 その日の夜――。 俺はリビングのテーブルに着いたまま、うたた寝をしていたらしい。 メールの着信音で目覚めた。 『悪い。今日は帰れない』 真珠からのメールだった。時計を見れば23時すぎ。事件でも起きたのか? だとしたら、刑事なのだから仕方ない。 だが、テーブルの上の料理に目が行くと舌打ちせずにはいられない。 「…チッ。…メールすんならもっと早くしろっ」 俺は手付かずの料理をそのままにリビングを出て寝室へと向かった。 部屋に入るとベッドへ倒れこむ。 今日は一日掃除三昧だった。そのせいか晩御飯を作った後、真珠を待ちながら寝てしまった。 だが今はすっかり目が冴えてしまっている。 ベッドの上でうつ伏せで寝転んでいると、昼間、掃除の間に干していた布団から、太陽の匂いと真珠の匂いがした。 「…真珠」 俺はその匂いをゆっくりと吸い込み、静かに吐き出した。 真珠を身体の中に取り込んだような、真珠に身体を包まれているような感覚。 俺の身体は次第に熱を持っていった。 もぞもぞと手を動かしシャツの上から胸をまさぐる。少し擦っただけで、ソコは小さな主張を始めた。 俺は仰向けに寝返り、片方の手をシャツの下から中へと差し込み胸の尖りを弄り出した。 くりくりと指で擦り、尖端を爪で引っ掻くと小さな快感が走る。 「………ンッ」 堪らない感覚に声が漏れる。 だが、物足りない。 俺はもう片方の手を下肢に伸ばすとスラックスの中に手を忍ばせ自身に触れる。 ソコは硬度を持ちかけていて、触れるとピクリと震えた。 「…ふ、…う…」 もっと快感を得ようと胸の尖りと自身の両方をいっぺんに弄る。すると、自身がどんどん大きく硬くなっていき、スラックスをキツく押し上げる。 俺はスラックスを寛げ、下着ごと脱ぎ捨てた。 シャツ1枚だけ身につけ下半身をさらけ出し、ベッドの上で好きなヤツを想って自慰行為にフケる。 (…バカか、俺は…) 頭の隅にそんな思いが浮かんだが、すぐにそんな事どうでも良くなった。 竿の部分を上下に扱き、傘張った部分を擦りながら鈴口を指先でぐりぐりと抉る。 腰が浮きそうな程の刺激に、鈴口からはダラダラと先走りが溢れ出してきた。 「…は、…あ、…ぁ」 短い息を吐き出し、一旦息を調えると、溢れ出た雫を指に絡みつける。 そしてその指を自身の下で固く閉じている後孔に宛てると雫を塗りつけながら押し開いた。 何度も男のモノを咥えこんでいるソコはすぐに軟らかく湿り気を帯びていき、指先を飲み込んでいくのにそう時間はかからなかった。 「……はあ、…ぁ」 根元まで咥え込ませた指をゆっくり抜き差しする。 「……真 珠」 手前のいい所を擦る事は出来ても奥のいい所を突く事が出来ない。 「…はぁ、…真珠、…真珠、…お前のモノが…ほし…い」 最奥への足りない刺激を自身を扱く事で補おうとする。 激しく両方の手を動かし、グチュグチュと水音をたてながら、絶頂へと押し上げていく。 「…ふ、…うっ、あ…あああぁ」 矯声と共に白濁を吐き出した俺。 だが、快楽の過ぎた後は虚しさしかなかった。 イった後の気だるい身体をゆっくり起こす。 何とはなく部屋の扉の方に視線を向けるが、その扉が開かない事は分かっている。 「…チッ、らしくねぇぜ」 俺はまた身体をベッドへと倒れこませ頭からシーツを被ると、そのまま眠りの淵へと落ちていった。

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