5 / 42
桃陽・5
「………」
昔のことを思い出して薄らと浮かんだ涙を拭った時、バスルームから鷹田さんが出てきて現実に引き戻された。
「出たよ、桃陽。お待たせ!」
「……遅いよ。眠くなっちゃったから寝ようと思ってたところだよ」
「ごめんね、桃陽。いっつも俺、タイミング悪いよね」
「もういいから、早くベッドに寝て」
「う、うん!」
俺はもらった白いベアをソファの上に移動させ、何となくベッドから顔を背けさせた。
さぁ、仕事開始だ。
ベッドの上に仰向けになった鷹田さんの体を跨ぎ、彼が見ている目の前で、着ていたラグランのロンTを脱ぐ。ベルトを外し、腰を浮かせてジーンズを脱ぐ。白のボクサーパンツ一丁になった俺は、鷹田さんの胸の上に座ってにんまりと笑った。
「で、どうされるのが一番興奮するんだっけ?」
「桃陽。かっ、顔に……」
「変態」
俺は腰を上げてそのまま彼の顔面に腰を下ろした。
「十八歳のガキに顔面騎乗されて喜ぶなんて、どんだけ変態なんだよ鷹田さん」
「桃陽……、桃陽っ……」
鷹田さんの荒い呼吸が熱となって、俺の下半身に直接伝わってくる。その部分を押し付けるように腰を動かすと、更に鷹田さんの呼吸が激しさを増した。彼は今、興奮と息苦しさの狭間にある快楽の世界にイッてしまっている。
「桃陽、パンツの上からでもいい匂いがするよ……」
「……気持ちわる」
「あっ、あ……」
罵られてなお硬くさせている鷹田さんのそれを横目で見ながら、俺は俺でエロいスイッチが全開モードになっていた。
「ほら、もっと必死に口動かしてよ。そんなんじゃ俺、いつまで経ってもパンツ脱がないよ?」
「はっ、ふ……桃陽っ」
布越しに俺のそれを咥えたり舐めたりしながら、鷹田さんが身悶えて喜んでいる。
頭の中では、別のことを考えていた。
今日の俺の生誕祭は午後七時からだ。鷹田さんとのプレイが終わるのが午後四時だから、三時間はだらだらして過ごせる。指名を入れないようにスタッフに言って、スーツを用意して、待機室でお菓子を食べて昼寝しよう。
心の中で呟き、俺は鷹田さんの顔から腰を上げる。
「いい感じに気持ち良くなってきたから、そろそろパンツ脱いであげようか?」
「はいっ」
俺の僅かな体液と鷹田さんの唾液が付いたボクサーパンツを、屹立した鷹田さんの下半身を上から隠すようにしてそっと乗せる。鷹田さんは荒い息を吐きながら俺のパンツで自分のペニスを包み、上下に激しく擦りだした。
「こうすると俺に犯されてるみたいで気持ちいいんだっけ?」
「桃陽っ、いいよ桃陽っ……あ」
「パンツ買い取る客なんて鷹田さんくらいだよ。逆に気持ちいいくらいの変態だよね」
再び腰を落としながら、大きく口を開いて俺のモノを待っている鷹田さんに言った。
「舌で触ったら駄目だよ。口の中に入れてあげるけど、俺がいいって言う前にしゃぶったらお仕置きだからね」
「わ、分かりました……」
鷹田さんの口の中、まだそれほど硬くなっていない俺のモノに熱い息がかかる。涎を垂らしながら必死で我慢している顔が健気で愛らしく、俺は思わず頬を弛めた。
「そういう可愛い表情されると、ちょっとくらいなら舌使わせてやってもいいかなって気になってくるよ。鷹田さん、そんなに俺のしゃぶりたい?」
「はいっ……!」
「でもまだオアズケだよ。鷹田さんが好きなのは勃起したやつだもんね。俺がエッチな気分になるの手伝ってくれる?」
「ん、ん」
鷹田さんが両手を伸ばして俺の乳首を摘まんだ。
「あ、んっ……」
ねちっこい手付きで、鷹田さんが下から俺の乳首を弄り回してくる。そうされるだけで、体はすぐに熱くなってきた。
「あっ、……。さすが鷹田さんは俺のツボ突くの上手いね」
「……はっ、はぁっ……」
湿った吐息が俺の硬くなったそれを包み込んでいる。膨張したモノに触れないように口を開けっ放しにしているのはさすがに息苦しくなってきたか、鷹田さんの舌の先端が俺のモノにちらりと触れた。
「っ……」
慌てた様子ですぐに舌を引っ込める。
「……俺まだいいって言ってないよ。お仕置きしようか?」
「はぁっ、はぁっ……」
「でもここまで頑張ってくれたんだし、ちょっとはご褒美もあげた方がいいかな」
鷹田さんの目が期待に揺れた。俺もにっこりと微笑み、そして言う。
「よし!」
「っ……!」
その瞬間、勢いよく鷹田さんが俺のモノにしゃぶり付いてきた。中で舌がいやらしく蠢き、唾液が濡れた音をたてる。
「あぁっ……、あっ。そんなに激しくしたらっ……!」
――違う。これじゃ彼は喜ばない。
「んっ……あ、もっと舌使って丁寧にしゃぶってよ。俺からザーメン搾り取ってみせろ」
「ふぅ、う……はぁっ……」、
鷹田さんは訳の分からない声を発しながら一心不乱に俺のそれを愛撫している。いくら口で冷たく突き放しても、俺の体は熱くなり、情けないほど反応していた。
ともだちにシェアしよう!