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初撮影・4
「桃陽は本当にセックスが好きなんだなぁ」
「ふふ」
当然だ。ずっと昔から、セックスは俺にとって生活の一部。食事や睡眠と同じ、息をするのと同じなのだ。長年の習慣は、そう簡単に変わることはない。
「それじゃあ、和姦の3Pでいくか。メインはあくまでも桃陽だ。他のモデルは目立たないような奴を用意する」
「……そうだよなぁ。いい男がいたら、お客さんはそっちに集中しちゃうもんな……。複数の中に雀夜が紛れ込んでくれる可能性はゼロかぁ」
この期に及んで雀夜の名前を出すと、松岡さんの無表情が少しだけ弛んだ。
「桃陽はそんなに雀夜が好きか」
「大好き!」
間髪入れずに即答する。更に松岡さんの顔が柔らかくなった。
「あいつがここまで誰かに好かれるなんて珍しいな。どっちかって言うと、雀夜は嫌われ役だからな……」
「意地悪で素っ気なくて厳しいからでしょ? でも俺としてはライバルは少ない方が助かるから大丈夫。もっと嫌われまくって欲しいくらいだよ」
「そういや松岡さんて、雀夜と同じ高校だったんですよね」
義次さんの聞き捨てならない発言に、俺は目を見開いて身を乗り出した。
「そうなのっ? もしかして松岡さん、雀夜と同い年?」
だとしたらかなり若い歳で、この会社を作ったということか。そういえば雀夜だけが、松岡さんのことを「幸城」と名前で呼んでいる。
「いや、俺の方が二つ上だ。だから高校では一年しか被ってないが……。ま、それなりに交流があってな」
「松岡さん、雀夜とヤッた? 雀夜って昔からセックス上手かった?」
「………」
「直球すぎるよ、桃陽。代表に向かってそんなことを大声で……」
俺の質問に、義次さんが焦ってフォローを入れた。周りのスタッフもうろたえ、だけどみんな興味津津な顔で松岡さんの答えを聞き耳立てて待っている。
「……さぁ、どうかな。教えねえよ」
「うー」
はぐらかされ、俺は頬を膨らませてソファに深くもたれた。
「そんなことはどうでもいい。桃陽、雀夜に惚れるのは勝手だが、くれぐれも私情を仕事に持ち込むなよ?」
「分かってますって。好きな奴がいながら他の男に抱かれるのなんて、昔から慣れてますもん……」
「………」
自分で言って、悲しくなった。何だか惨めすぎる。
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