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そんな君も好きだよ
十一月十一日ってポッキーの日だって。
もうけっこう定着してるよね。
そりゃカップルはポッキーで遊ぶよね。
端からお互いに食べでさ。最後、チューしてさ。
ああ、ラブラブで羨ましいこと。
僕も圭介とステディな関係だからそういうのもやってみたいけど。
ただ、圭介はそういうのが苦手なんだよねえ…
クールなトコに魅かれていまの関係になったんだから文句は言えないけどたまにはラブラブしてみたいな。
「ちょっと出てくる、タバコ切れた」
愛煙家の圭介は、夕食後そう言いながら近所のコンビニまで歩いて行った。たかだかタバコが切れたくらいでわざわざ行かなくてもいいのになあ。
付き合って5年。同棲して3年。
空気みたいな存在で、少しだけマンネリ化してきてる気がするような…。お互い嫌いになったわけじゃないけど…
何だろうなあ。食器を洗いながら、ため息をつく。
しばらくして圭介がコンビニの袋を持って帰ってきた。
「おかえりー」
「おー。外、寒くなってきたぞ…」
上着着ていけばよかった、とブツブツ言いながらソファに座る。
「優希」
お風呂上がりに髪を拭いていたら圭介に呼ばれた。
「何」
手に何か持って振っている。僕は目が悪いので、メガネをかけて近寄った。
「ポッキーじゃなくて残念だけど」
手に持っていたのはプリッツの箱だった。
一本取り出して、圭介は端を加える。そして咥えてない方を指差した。
そっちから食べろ、ってこと。
僕が端を咥えてお互い食べあいこする。
そしてそのまま、圭介の唇に触れて、キスをする。
「ん…」
何だ、圭介もラブラブしたかったんだ。
わざわざプリッツ買ってくるほど。
そうだよね、いつまでもラブラブしたいよね。
【おしまい】
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