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冬の景色
そのダッフルコートは彼が愛用してた。
高校の時、雪の降る中をチャリで通学してすっ転んだ時もそのダッフルコートを着ていて、雪で真っ白になったっけ。
受験シーズンには塾へ通う時、参考書片手によく問題を出し合ってた。たいてい間違えてたけど。
大学生になると屋台のラーメンをすすりながら、気にあるあの子の恋愛相談を受けてたね。
気がつくと、彼のダッフルコートの裾を握る役は僕から彼女に変わってた。
それでも彼が幸せなら、僕はいいと思ってた。
たた、お揃いのダッフルコートを着て一度だけ、木枯らしの中泣いたんだ。
今はもう君のダッフルコートを見ることはなくなった。
あれからもう数年。
すっかりサラリーマンとしてバリバリ働いてる君はダッフルコートを卒業して、トレンチコートに。
そして僕は君のトレンチコートの裾を握る。
ありがとう。僕を選んでくれて。
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