27 / 29
そうじ
ずいぶん前から掃除道具を準備してたし、天気も快晴。今日は一日、年末大掃除。
一緒に暮らしてる真吾と朝から作業を開始した。
窓ガラスを拭いて、キッチンの換気扇の汚れを取って。気がついたらもうお昼過ぎ。
ふと、真吾の気配がしない。一生懸命すぎて居ないことに気がつかなかった。
「真吾ー、何してんの」
キッチンの隣の寝室に、真吾が背中を向けてうずくまっていた。振り返った手元には卒業写真のアルバム。
「ついつい、懐かしくなって見てた」
そのアルバムは僕等が卒業した高校のものだ。もう4年前になる。
あの頃はまだ、自覚してなかった。お互いが、お互いに恋愛感情を持ってたことを。
アルバムを覗き込むと、クラスの集合写真が載っていた。僕の真後ろに真吾がいる。
「この頃の譲、可愛かったよなー!」
「真吾は相変わらずだけどな」
思わず顔を見合わせて笑い合う。
楽しかったあの頃に戻りたいな、と思うことはあるけど。僕は今の方が断然、幸せだ。
ずっとこの幸せが、続きますように。
「…で、ここの窓ガラスは拭いてくれたの?」
「えっ」
おしまい
ともだちにシェアしよう!