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片耳のしあわせ
智洋はいつも黒のピアスをしていた。
白いうなじから繋がる耳についているピアスはなぜか色っぽくて、大好きだった。
「カッコいいなあ、カッコいいなあ」
いつも俺がそんなことを言っていたから、ある日、智洋がピアッサーを持って来た。
「悠介も開けりゃいいじゃん。あけてやるよ」
耳たぶを冷やしてピアッサーを思い切りバチン、と閉じて穴を開ける。
音が怖かったけど、冷やしていたからか、痛みはほぼない。
「俺が悠介ん中、入れた時の方が、痛かった?」
「…バッカじゃねーの!」
数日後、智洋が青のピアスを持って来た。
ワンセットのピアスを、お互い1つずつ手にとって、耳につける。
さりげない「お揃い」
こんな安い物で幸せになれるなら、俺ら、安泰だな。
終わり
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