3 / 3
第3話
昼休み。
購買でパンを買い、屋上への階段を上りながらふと気づく。
そういや俺、あいつに告られたんだよな…?
なんか、警戒心無さすぎ?
まあでも別に、危ないやつじゃないだろうし、第一好きっつったって、そういう好きなのかどうかも分かんないだろ、うんうん。
自己解決し屋上のドアを開ける。
明るい日差しが飛び込んで来て、思わず目を細めた。
今日は天気が良い。日光は少し強いが、それでも風は十分涼しい。
日陰になって居る場所に行くと、すでに沢野が座っていた。てか呼び方、沢野でいい…よな?
「よー」
声をかけるとパッと顔を明るくする沢野。なんかすげえ、犬みたい。
「すいません先輩、僕なんかとお昼…」
「ん?いーよいーよ、お前と喋るの楽しいし」
よっこいしょ、と沢野の隣に座る。
買って来たパンを頬張ると、横からの視線に気づいた。
「ん?ほふひは?(どうした?)」
「や、先輩細いのに、案外食べるんですね」
俺が持って来た袋に入った大量のパンを見たのだろう。
確かに俺は決して体がでかいほうではない。おまけに身長が一向に伸びない。おかしい、成長期真っ只中なのに。
食べながら色々話した、話したというよりかは、俺の話を沢野は黙ってニコニコ聞いていた。
「お前は?好きなバンドとかねーの?」
「僕音楽はあんまり…でも先輩が好きなバンドの曲、聴いてみます」
「おーオススメだぞ、まあ俺が好きなのじゃなくてもいいけど」
「先輩が好きなのじゃなきゃダメです」
柔らかい、けれど芯のある声で返されて少しだけ驚く。
「なんで?」
「だって好きな人の好きなもの、僕も好きになりたいです」
好きな人…?
意味がわかって思わず動揺する。
何を言ってんだ、沢野。
話題を変えたくて口が勝手に動く。
「そ、そういえば昨日の告白?的なやつってその……憧れみたいな感じの...だよな、?」
その話題今1番アウトだろ!バカなのか俺?!
「何言ってるんですか、先輩」
「へっ」
ジリジリと距離を詰められる。
「もちろん先輩は憧れです、でも僕の気持ちはそれ以上です」
ごくり、と唾を飲んだのは俺。
こいつの、沢野の真っ直ぐな瞳に捕まる。
「先輩、好きです。先輩が振り向いてくれるまで、諦めません」
「えっと……それは…」
「迷惑はかけません、お願いします」
深々と頭を下げられる。
緊張と動揺で、疲れ切った脳でぼんやりと考える。
あー、昨日終わってなかった話って、これか…。
なんでか分からない。
相手は男だ。よく分からない男だ。
それでもまっすぐな姿勢が、そうさせたのか。
俺は沢野のお願いにOKしてしまった。
ともだちにシェアしよう!