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【14】-1
三日目になっても消えたシンデレラ探しは続いていた。
新しい情報が全くないにもかかわらず、繰り返し同じネタで盛り上がっている。今や誰もが周防の顔と経歴を一通りは知っているようだった。
シンデレラに関しては、依然として謎のまま。
視聴者が飽きるのを恐れてか、全く無関係の資産家令嬢やモデル、セレブ系芸能人などが周防との関係を取り沙汰され始めた。華やかな写真で紹介され、中にはインタビューに応じる者もいたりして、それはそれで盛り上がっている。
どの女性も美しく、自信に溢れて見えた。
玲はなぜだか悲しくなった。
周防のような男にはいくらでも素敵な相手が現れるのだ。後から後から湧いてくるピカピカの花嫁候補たち。画面いっぱいに咲く色とりどりの花。
そこに本物のシンデレラがいなくても、何も変わらない。玲が正体を明かしたところで、「花嫁」にはなれないのだから。
真実を語らない『SHINODA』に不満が向けられるのを危惧した拓馬は、苦肉の策として『サンドリヨンの微笑』のプロモーションビデオとエレナのプロフィールをホームページにアップした。十月から公開予定の、すでに用意されていた宣伝資材だ。
公開直後からアクセスが集中し、『サンドリヨンの微笑』と『SHINODA』は検索ワードのトップに躍り出た。
エレナが入院中であることも、すぐに噂になって流れた。拓馬はエレナの安全を考え、入院先の病室を特別室に変えるよう手はずを整えた。
そんな中、周防智之も姿を消したという噂が飛び込んでくる。
もともと多忙を理由に取材には応じていなかった周防だが、この二日間、通常の面会も一切受け付けず、全ての会議への出席をキャンセルしているらしい。滞在中の部屋ももぬけの殻だという。
いったいどういうつもりだろう。玲はムッとした。
拓馬との面会がリークされたり、滞在中の部屋の様子が外に漏れたりすることにも、苛立つ。ホテルという場所が担うべき役割が十分に果たされていないではないか。
憂鬱な気分で出勤した玲は、しかし、モヤモヤしている余裕もないほど忙しい一日を迎えることになった。
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