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 そこまで考えて、けれどやはり、まるっとマンション一戸分の価値が自分の尻にあるとは思えなくなり、むっと口を引き結んだ。 (どうせ、俺はシンデレラじゃないし……) 「玲、そんなふうに誘惑するなら……」   周防が頬に手を伸ばすが、玲はサッとシーツの中に潜り込んだ。 「なんでもない。おやすみ」 「玲……っ」  ふかふかのベッドに包まれると、玲は一瞬で眠りに落ちた。周防が何か言っているが、知ったことか。  長い長い一日が、やっと平和に終わるのだ。

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