81 / 191
【17】-6
「玲……、あいつは、玲の何なんだ?」
「何って……」
幼馴染みで雇用主で、居候をさせてくれている家主である。
「昔から、お世話になりっぱなしで……」
おもむろに起き上がり、ベッドの上に正座して話した。
「恋人ではなかったのか」
「だから、ヘンなこと言うなってば。拓馬は、拓馬だよ。恩人で、親友で、兄弟みたいなもの」
「つまり、きみは……」
処女なのか、と暗に聞かれる。この場合の処女とは、後ろのことである。玲は目を逸らして頷いた。
「そうか……」
胡坐をかいた周防は、頭を抱えてうなだれた。紺のビキニで覆われつつも、ビミョーに覆い切れていない股間に目が勝手に吸い寄せられる。
あれは、無理だ。
入るわけがない。無意識に思った。
それなのに、それから数分後、周防にポンとパジャマを投げるように渡されると、なぜか少し寂しくなった
「着なさい。ヘンなことを疑って、悪かったね」
同じパジャマに袖を通している周防を見上げ、ぽつりと呟く。
「やっぱり、しないんだ……。俺が、男だから……」
「玲……」
周防の動きが止まり、奇妙に歪んだ顔が向けられる。
「玲……、さっき、あんなに泣いてただろう」
「泣いてない」
「嘘を吐くな。きみは、僕にどうしろと……」
「だって……」
周防のものになれば『サンドリヨンの微笑』を返すと言った。だったら、周防にとって玲にはそれだけの価値があり、それくらい玲を抱きたいと思ったということではないのか。
ともだちにシェアしよう!