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 そして、王子に出会い、恋に落ちた。 『ドレスや馬車は外見にすぎないんだ。立場や経歴、その人の生い立ちや経済力、人種、性別、国籍、宗教、年齢なんかも、人の本質とは別の次元にある』 『ほんしつ?』 『その人の優しさや、心の美しさのことだよ』  誰かを好きだと思う気持ちもそうだと教える。 『俺、トモが好きだよ』  玲が言うと、トモはにこりと、とても綺麗な笑顔を見せた。 『僕も、玲が好きだ』 『大好きだよ』  玲は、トモのそばに行き、のびあがって硬い唇にキスをした。トモは一度身を引き、次に少し長いキスを玲に返した。 『玲……』  髪を撫でられ、心臓がドキドキと大きく音を立てた。 『トモ……。好き、大好き……』 『玲……』  ぎゅっと抱きしめられて、泣きたいような、けれど同時にどても幸せな気持ちになった。  ただ、好きで、好きだという気持ちだけで、何をどうすればいいのかもわからないまま、広い背中に手を回していた。 『玲が大人になったら……』  トモが囁いた。  大人になって、もしまた会える日が来たら、その時はずっと一緒にいようと約束した。 『(つがい)のユリシスを誰かと一緒に見ることがあれば、その人は運命の相手だと僕の母が言っていた』 『それも、青い蝶の言い伝え?』 『さあ……』  トモは笑った。

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