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【29】-12

 明日も明後日も一緒にいることがわかっている。せっかく風呂にも入ったばかりだ。それでも……。  周防の背中に腕を回し、硬い熱を感じて目を閉じた。  あの日、アイスブルーのドレスを着てパーティに行ったことを玲はもう後悔していない。あの出会いがなければ、今はなかっただろうから。  瞼の裏に深い緑色の森が浮かぶ。  その上を、青く輝く二頭の蝶が飛んでゆく。  行く先はわからない。ただ、離れずにどこまでも飛んでゆく。  番つがいのユリシスを一緒に見れば、それが運命の相手だと、誰かがどこかで言ったとか言わないとか……。  メモスタンドで輝く二頭の青い蝶に見下ろされ、愛しい相手に身をゆだねる。  王子とシンデレラの眠れない夜が静かに更けていった。                           ―了―  最後までお読みいただきありがとうございました。              (f 2019.10.13) (この後、短いおまけが続きます。日付が変わる頃に公開予定です。もしよければ、引き続きお付き合いいただけると嬉しいです。どうぞよろしくお願い致します) 

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