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王子様も眠れない(1)
明日も玲は仕事だ。玲の仕事は基本的に立ち仕事なので、身体を労わってやらねばならない。
キングサイズのベッドに横たわり、周防は腕の中の愛しい存在に口づけた。
髪を撫で、額にキスをして「おやすみ」と囁く。
「トモ……」
嬉しそうに笑いながら、玲がまっすぐな瞳を向けてくる。
幼い頃と少しも変わらない、百パーセントの恋心。好きで、好きで、仕方がないと告げるきらきらと輝く濡れた瞳。
「玲……」
都心のホテル内にある店舗は土日と平日の客足の差が少なく、玲のシフトは単純だ。二日勤務に一日休みの繰り返しである。
週のうち、存分に愛しても許されるのは二晩だけ。
一昨日がその貴重な夜だった。昨夜はじっと我慢して、今夜もまた我慢して、明日になればまた愛を交わすことができる。
痛みを覚えるほど硬く張り詰めた股間を慎重に遠ざけ、周防は玲を抱きしめた。
玲が周防の肩に額を押し当ててくる。頭の後ろを支えるようにして胸に抱いた。
「トモ……」
「どうした? もう、寝ないとダメだよ」
「うん……。じゃあ、おやすみのチューして」
「……っ」
玲が顔を上げて、鼻の先を顎に擦り付けてくる。
周防は身を起こした。玲の上に覆いかぶさり、唇をふさぐ。
「ん……」
ぎゅっと握り締めた細い指がパジャマを引っ張った。
口づけを深くする。我を忘れてひとしきり貪った後にようやく離れると、乱れた呼吸の合間に玲が囁いた。
「トモ……、好き。大好き……」
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