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トリックオアトリート 3

そんな目で見られたら我慢できなくなってくる。 マントで隠そうとはしてるけどもう俺の前はパンパンに張ってて、悪戯でもなんでもいいから修平とキスがしたいとか思ってしまった。 そう思うと、いてもたってもいられなくなってきて……。俺ってば、本当に修平には弱いんだ。 見つめられるだけで反応するとかどんだけだって思う。恥ずかしすぎるから口にはしたくないけど。 でも、キスしたいって言うくらいはいいよな。 ハロウィンだし……って関係ねーけど。 胸ばかり刺激する修平の腕を掴むとまっすぐ目を見つめた。 「修平……俺。キス、したい」 すると心底嬉しそうな顔をした修平が優しく微笑んで俺の髪を優しくすく。 そして修平はポケットから包み紙を開いてそれを自分の口に放り込んでまた優しく目を細めた。 「うん。素直な千秋には特別なお菓子をあげるよ」 「え?」 理解するまもなくそっと重ねられた唇の隙間から舌が差し込まれる。 すると修平の言ってる意味がわかったんだ。 修平のキスはいつも以上に甘くて、はちみつの味がしたから。 「これはちみつの飴?」 「うん。千秋がトリックオアトリートって言ってきたらあげようって思ってたんだ」 「なにそれ」 そんなの俺が修平を驚かすって最初からわかってたみたいじゃないか。 でもそんなことどうでもよくなるくらいの甘いお菓子みたいなキスを貰って、邪魔だから付け牙も外そうって思った矢先、いきなり抱き抱えられて向かった先は修平の部屋のベッドの上だった。 「千秋、トリックオアトリート」 「えっ?」 「あれ? 千秋は僕にお菓子くれないの?」 「えっと、さっきみたいなヤツ?」 「さっきは僕がはちみつキャンディ味のキスあげたでしょ? 千秋はくれないの?」 って言われてもパーティーで貰ったのは全部食べてしまったし、今は飴なんか持っていない。 すると、残念そうな言葉を並べる割には明るい声色で修平が言ったんだ。 「お菓子くれなきゃ、悪戯しちゃうぞ」 「か、仮装もしてないのにズルいぞ」 「そう? じゃあ、これ貸して」 そういって俺の口から付け牙を外して自分に付けた。 「これでいい? お菓子くれないと悪戯しちゃうよ?」 そんな付け焼き刃の仮装なんて! って言い返してやろうと思ったのに、思いのほか付け牙が似合っている。 牙の生えた修平……かっこいい。 なんて、うっかり見とれてしまったせいでそれから後はたっぷり悪戯されまくってしまったんだけど……。 「ん、もう……むりっ、あっ、しゅうへ……むり……」 「まだまだ悪戯し足りないんだけどなぁ」 「ああっ……!」 ──── ヘトヘトになったあとは、おいしそうなかぼちゃの蒸しパンをくれたけど、来年からは絶対にお菓子を切らしてはいけない!そう思ったハロウィンだった。 《トリックオアトリート・終》

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