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最高のクリスマスプレゼント 1

あれは付き合ってはじめてのクリスマス。 プレゼントは何がいいかと千秋に聞いたときのこと。 千秋のことだから素直には教えてくれないかもしれないけど、なんだかんだ言いつつ恥ずかしそうに欲しいプレゼントとかを言ってくれるのかなと予想していたのだが……実際の反応は僕が想像していたものとはまるで違っていた。 「プレゼント? そんなのいらない」 割とイベント好きな千秋のことだから、きっとクリスマスも楽しみにしているものだと思っていたのに、思いのほかつっけんどんに返されてしまったのだ。 「でもクリスマスだよ?」 「別に関係ないって」 「千秋、イベント好きだと思ってた」 「そんなんじゃねぇし」 そう千秋は言うけれど付き合ってはじめてのクリスマスなのに何もしないというのも寂しいと、その後もしつこく聞くも頑なにプレゼントはいらないと言う。 「クリスマスって別に俺はキリスト教徒でもないから関係ないんだよ」 さっきからそれの一点張りだが、どうも言っていることが矛盾していて納得がいかなかった。 「でもこの間、家でクリスマスパーティーするって言ってたなかった? 咲良ちゃんと樹くんのプレゼントも何にするか悩んでたよね? どうして僕だけがだめなの?」 「え、それは……」 すると途端にばつの悪そうな顔をしたので、千秋の顔を覗き込むと顔を逸らされた。 「ねぇ、どうして僕だけだめなの? 僕だって千秋とクリスマスしたいよ」 すると千秋は少し困った顔をして黙り込み、そしてしばらくすると目を逸らしたまま口を開いた。 「……絶対に笑わないって約束するか?」 その小さな声に、何を言われるのだろうと思いながら頷くと、千秋は観念したのかおずおずと顔を上げる。 「プレゼントとかは本当にいらないんだ。……でも、クリスマスにやってみたかったことは前からあるんだけど……。本当に絶対に笑うなよ」 黙って頷くと、千秋は頬を赤らめ口籠もりながら本当に恥ずかしいのか目線を上げたかと思えばまた逸らしてしまう。だからもう一度、千秋の顔を覗き込むようにするとちらっと横目に僕のことを見た。 「あのさ……、修平ってケーキ作れるだろ? プレゼントとかいいからさ、ホールケーキ作ってくれる? 小さいのでいいから、苺のやつ」 「ホールケーキ? いいけど、どうして?」 あんなに言いにくそうにしていたので構えて聞いていた分なんだか拍子抜けしていると、千秋は目を逸らしたままそのまま続けた。 「あと、砂糖で作った人形とか乗ってるのあるだろ? あれも作れる?」 「う、うん。多分、作れると思うけど」 すると千秋は照れくさそうに、また小さい声で呟くように言った。 「……ホールケーキ、切らずに食べたい」

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