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Happy Birthday 9.28 1

「なぁ、修平。誕生日にして欲しいことってあるか?」 おめでとうと言いながらプレゼントをくれた千秋がそんなことを言ってきた。 「別にいつも通りでいいよ」 「よくねーよ! せっかくの誕生日なのに」 付き合って二回目の誕生日ではあるのだが、最初の誕生日は僕が日にちを教えないまま過ぎた。 だから千秋にとっては実質一回目の僕の誕生日のようなものなので張り切ってくれているのだろう。 「千秋が一緒にいてくれたらいいよ」 「えー! もっと何か言えよ」 何を言っても不満そうな千秋は、今日は何かお願いしない限り納得しなさそうな顔だった。 「本当になんでもいいの?」 僕が言うと少し身を乗り出すようにしてうんうんと大きく頷く。 「だったら、今日は僕が何を言っても嫌って言わないとかでもいい?」 「そんな簡単なことで良いのか? いいぞ! なんでも言えよな!」 ……なんて息巻いていた千秋だったけど。 「いーやーだぁー!!」 「約束と違うよ? 嫌って言わないんでしょ?」 「だって!」 さっきまで何でも言えとか言ってた千秋が何に嫌がっているのかというと。 「ねぇ、千秋。一緒にお風呂入ろうよ」 「……む、無理」 「どうして?」 優しく聞くと、千秋は体を強張らせて目を泳がせた。 付き合って一年以上経つし何回かは一緒に入った事もあるものの、いまだに恥ずかしいらしく、千秋が嫌がって悶着になるのはいつもの事だ。 でも今日はいつもとは違う。 「今日は僕の誕生日なのに?」 すると千秋は困ったように眉を寄せた。 「……それズルい」 「僕はいつだってずるいよ?」 知ってたでしょ? って囁くように言うと、声に反応して千秋の耳も赤くなっていく。 そして、俯き気味の千秋が目線だけを僕に向けるので優しく千秋の髪を撫でた。 「そんなに一緒に風呂、入りたいのかよ」 「うん。入りたい」 即答する僕に呆れ顔の千秋ははぁーっと大きなため息をついた。 「……つか、一緒に入って何すんだよ」 「千秋を洗ってあげたいんだ。頭から足の先まで全部」 「なんでだよ! なんで俺が洗われるんだよ!? 俺が洗うならわかるけどさ」 「え、そう? 千秋が洗ってくれるんだ? ありがとう」 千秋がそう言うならばと、微笑みながら千秋の手を引き浴室に向かって行こうとするとまた千秋が暴れ出した。 「いや、待て! 待て! 待て! 洗うなんて言ってない!」 「どうせ後で裸になるんだし、今でも一緒でしょ?」 「……それとこれとは別じゃん」 「ふーん。でもその言い方だと、ベッドの上ならいいんだね?」 暴れる千秋を抱き竦めながら耳元で囁くように言うと、わかりやすく千秋の肌が赤く染まり、途端におとなしくなって僕の胸に顔を埋めている。 そんな瞬間が堪らなく愛おしくて、まぁ今日はこの辺で僕が折れてあげようかなと思った。 「じゃあさ、頭だけ洗ってくれる?」 譲歩すると千秋がゆっくりと顔をあげた。 「……それだったら、してやってもいい」 いつもみたいに少し偉そうに言う姿はやっぱり可愛くて僕の胸を躍らせるのだ。

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