33 / 53

Happy Birthday 9.28 3

そして、舌が唾液の糸を引きながら離れると、そのまま唇を頬から耳に這わせ、耳たぶを噛みながら音を響かせればまた千秋は身じろいだ。 「千秋の声、響いてる」 「んっ、こうやって……ッあ……声とかが、響くのも……あぅ、やなんだ……」 「僕はもっと聞きたいのに」 またキスで唇を塞ぎ、舌を使い漏れ出る声も、緩んだ唇から溢れる唾液も舐めとり舌を這わせるたびに可愛く喘ぐ姿に満足して、そっと千秋を解放した。 ぼんやりしている千秋を見て、目を細める。 「わかったよ。今日は髪洗ってもらっただけで嬉しかったから。風呂はまた今度にするね」 するとあんなに嫌がっていたのは自分なのに、途端に申し訳なさそうな顔をするから可笑しくて笑いそうになった。 本当に可愛くて困る。 「僕もすぐにあがるから、すぐに千秋も入って。濡れたままだと寒いでしょ?」 「そんなに濡れてない」 「でも風邪ひいたら……」 「だからそんなに濡れてないって! だから……修平の髪乾かすまでやる……」 そう言って立ち上がった千秋は「だから早く出て来いよ!」と言って浴室を出ていった。 いつも千秋には驚かされてばかりだ。 悪態つく姿も可愛くて好きだけど、たまにこうやって素直に自分の気持ちを言ってくれた時に、僕のことを好きでいてくれてるんだなってさらに実感してまた千秋が好きになる。 きっとこれからもその繰り返しなんだろうなって思っていると、またガチャっと浴室のドアが開けられて千秋が顔をのぞかせた。 遅いって言いに来たのかなって思っていると、 「来年以降の誕生日には……一緒に風呂はいるの…………考えてやってもいい」 それだけ言うとまた勢いよくドアを閉めた。 僕が唖然としていると、また勢いよくドアが開いて、今度は。 「か、考えるだけだからなっ!!」 と念押しだけしてまた出ていった。 それが妙に千秋らしくて可愛くて、クスクス笑いながら僕は部屋にいる千秋に聞こえるように返事をした。 「楽しみにしてるね」 すると遠くから「来年以降だからな! 来年じゃなくて来年以降だからな!」って聞こえてさらにおかしくて声を出して笑ってしまう。 本当に飽きない僕の可愛い人。最高のプレゼントは、君と共有する時間そのものだと思う。 そうやって時を重ねていけたら最高に幸せなんだ。 ゆっくり温まりながら来年以降の僕たちを想像した。来年は誕生日に一緒に風呂に入れるだろうか? まぁ、でも。 一緒に風呂は誕生日じゃなくても入るけどね。 《Happy Birthday 9.28・終》

ともだちにシェアしよう!