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第18話 ご用命は
「理玖様、お風呂を沸かしております。たんと体の芯までお浸かり下さい、なんならお背中を流すようお気に入りのメイドを寄こしますよ?」
「何を言っているんだそんな気を寄こさないでくれ。風呂には早く入りたいよ」
「ふふふ、坊ちゃんは変わらずですねぇ。少し明朗になりましたものを。――ではでは」
髭もじゃ改め、長男さんの理玖さんがコツコツと歩みながら俺の前を通り過ぎようとしたとき、「そういえば、君…さっきは済まないね。捲るつもりはなかったんだけど……ウチの弟を思い出したよ、あのような可愛らしいキャラクターを好んでいたから」
「は!は、はぁ…っ」パンダの事を言ってるんだろか、アレ母さんが…決してパンダが…可愛いけど。
「……新人メイドさん、差し支えなければ名前は?」
え、お、俺っすかぁぁ???
「あ、あの、野村――」
「理玖様、こちらのメイドをお用命ですか?」
「え、ああ、そうじゃないよ、ごめん。こんな若い子がおれの邸宅にメイドに来てくれたのだから名前ぐらいは憶えておきたいなと思ったものだから……まぁ、またの機会でいいよ」
ほっほっほっと峰先輩メイドは不敵な笑みを声に出して理玖さんを見送った。
理玖さんが場所を離れると、一斉にメイドやボーイがその場から散らばった。仕事再開ですね。
ふと正面を見たら、峰さんがクルっと俺の方を振り向いて何かジェスチャーしてきた!?
意味が解らないので首を傾げたら、今度は口パクで『ついてこい』といわれた。
……俺ぇぇ?
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