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第3話+α
立ち入り禁止になっている病院の屋上
「昨日連れて帰った子がさぁ......よかったの」
「お前のそれ。私は耳が腐るほどに聞いてきたよ」
「いやぁ、今度の子は間違いない!絶対運命!」
「お前には、いくつ運命があるんだろうね」
取り損ねたお昼休憩をしにやって来たのだが、同僚の恋愛話を聞かされるはめになる
「お前は無いのかよ、伊織」
「ないね......」
「枯れてんなぁ~イケメン天才外科医」
「なんだそれ」
この後運命の出逢いをはたすとは知るよしもない私は、同僚の話を笑ってながした
ぶつかった小さな身体
ぶつかったところから全身に広がる熱
ドクンと強く心臓が跳ねた
「ぼっ僕、失礼します!」
そう言って去っていった人のあとに紙が落ちていた
片桐なお 担当医:井崎 馨
処方されているのはヒート抑制剤
「まずいんじゃないの?」
そう呟いて私は、薬局へ向かった
その後は、内科の井崎のところへ行っていきさつを話す
「......このまま5日片桐さんが来なかったら、望月先生に持っていってもらうわ」
ヒート状態になるとむやみやたらに外を出歩けなくなる
Ω性の人にとってヒート抑制剤は、必需品だ
なにがなんでも取りに来るのが普通だ
が、結局片桐なおは来なかった
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