99 / 110
第61話
明後日は、僕の誕生日です
香織さんや秀さんは、優しくて温かい人達でした
お兄さんたちも親切にしてくれました
あれから、3人が1階へおりてきて伊織が『なおと結婚するから』と宣言
夕食をご馳走になり、香織さんからの質問攻めにあいました
帰り際にご両親から『伊織をよろしくね』と言われてしまいました
きゃーっ!
今思い出しても顔から火がでます
火照った頬を冷やすように顔を洗って新聞を取りに行きます
この前の白い封筒がまだ、怖い気持ちもありますがこれは僕の日課なので取りに行きます
新聞紙とまた封筒がありました
今度は、なんでしょう?
家に帰ると伊織が欠伸を噛み殺しながら朝食を作ってくれています
「いおりぃ、また......」
「ん?あぁ、白い封筒......」
カッターで開けてみるとこの前同様、刃がびっしりとついた封筒のふたに1枚の紙
“別れてないなんて身の程をわきまえたら?”
“あなたは、彼に相応しくない”
“彼は私と結ばれるべき”
と打ってある
「いおりぃ......」
こんなことを思う人がいるということが悲しくて寂しかった
「おいで、なお。こっちに」
リビングのソファーに2人で座る
伊織が僕を安心させるように顔や首にキスをする
「いおっ......あひっくすぐっ......たぁ、いっ」
「くすぐったいだけ?」
「ん、不思議なの。伊織とこうしてるだけで」
さっきのどうしようもない気持ちがスーッと和らいでいく
「ごめんね、なお。少しだけ」
「えっ?」
ともだちにシェアしよう!