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第5話 生
そうして気付いたら病室のベッドの上だった。あの時俺は死ぬつもりだったのに生きている。生きてしまった。ただ、友生は――
俺は傷の痛む体を無理矢理動かし、身体に入っていた管を引き抜き、友生の眠るベッドの傍に崩れ落ちるように座り込んだ。
頭に巻かれた包帯が痛々しいものの、顔は綺麗なものだった。まるで作り物のような美しさでもある。
見ていたら、涙が零れた。後悔で胸が押し潰されそうだ。
言えばよかった。「それでも生きよう」って。どんなに辛くても逃げちゃいけない、って。自殺なんか、止めるべきだったんだ。最初から。
友生の右手を掴んだ。強く強く、力を込めれば俺の思いが通じると思って。
「ユウ……俺と一緒に生きてよ。辛くても、生きよう。お前が居ないと俺……一生、独りだよ」
笑顔も泣き顔も怒った顔も、もう一度見たい。
俺達は堕ちて、そしてまた新しく生まれ変わるんだ。今度は愛を一緒に育んでいくんだ。互いを信じて。どんなに辛くても互いが居れば生きていける。
そうだろう、と心の中で呟いた瞬間だった。握っていた手が握り返してきて、そして伏せられた睫毛がゆっくりと持ち上がった。
「……おはよう」
ここからまた、新しい人生が始まるんだと思えた。世界にはこんなにも、幸福が満ち溢れている。
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