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第7話
付き合って3ヶ月が経ち、間を置くことなく抱かれ続けたことで身体に変化が現れ始めた。
「〜っああ!イくっ!」
「…ふふ、毎日触ってた甲斐があったね。ほら、イっていいよ。」
「はあっ、あ、あ、あっ……んあああっ!」
俺は乳首を触られるだけでイけるようになり、後ろの方では射精せずにイクことが出来るようになった。『メスイキだ』と心底嬉しそうな顔で言われたときには、腹にボディーブローをお見舞いした。でも冗談ではなく、弓弦に触られると身体は勝手に疼きを求めるようになり、大学の授業中もムラムラしてしまってヤバい時があり、身体が開発されていくのがありありとわかってしまった。
就職活動真っ最中の俺は、無事書類選考を通った企業の面接や試験が待っている。吊るしで売ってあったスーツを着用して挑んだ。
スーツの下にはYシャツを着るが、硬めの生地が乳首が擦れて感じてしまい、大変な事になったので更に柔らかい肌着を着た。しかしそれでもムズムズするため、大事な日には絆創膏が欠かせなくなった。就活の息抜きとして友人と海に行った時も、赤く腫れぼったい乳首をからかわれながら触られたら、変な声を出しそうになってしまい、羞恥心やらこんな身体にした弓弦への怒りやらで、楽しむどころではなかったのだ。
「俺就職活動もあるし、身体がこれ以上敏感になるのは避けたい。もうsexしたくないんだけど。」
「もうこれ以上敏感になんかならないから大丈夫だよ。」
「え。」
「胸だけでイッて、メスイキして、全身も性感帯にしたから、もう開発出来ないよ。」
「え………。」
衝撃的事実を告げられた。俺の身体はもうすでに開発は終了していたらしい。気持ちいいし、就活のストレス発散にもなるし、別にいいかと誘われるままに受けていたのが仇になった。
弓弦が飽きた時、こんな身体なら疼いて大変なことになるんじゃないだろうか。そんな事になったら、誰彼構わず俺はペニスを欲しがるかもしれない。………嫌だ。そんな風になったら、平凡顔の俺は生きていけない。回数を減らしていかないと。
「……せめて2日に1回にしようぜ。弓弦も就活忙しいだろ。」
「これ以上敏感にならないなら、sexしていいって意味でさっき言ったでしょ?敏感にならない、だからsexは毎日するよ。」
「いやいや、このまま言ったらsex依存症になりそうで怖いんだよ。」
「ああ……、それいいね。運命の番じゃなくても、俺無しじゃ生きれなくなるかな。」
「…………やめろ。俺はそんななりたくない。」
「何で?俺と雪雄は一生一緒にいるから、何も問題ないよ?80歳になっても、死ぬ前日……、いや死ぬ日までsexしてあげるから。」
「………まじおぞましいわ……。」
ゾワゾワと悪寒が走り、俺は早々言い合いを放棄した。
✳︎ ✳︎ ✳︎
「……やったー!!」
俺は自室で叫びながらガッツポーズをした。
受かった。大きくはないけれど、従業員50名の地元の流通の仕事。福利厚生あり、年間休日110日、残業月10時間以内。良い対偶の地元企業に。俺なかなか運があるんじゃないだろうか。紅葉がかった季節で就職が決まり、残りの大学生活は卒論と数少ない授業のみ。なんて楽な生活が待ってるんだ!
やった。やった!
親に電話して報告するとすごく喜んでくれた。
「土日帰ってこれる?お祝いしましょ。高級寿司屋でもフランス料理でも何でも好きな物食べさせてあげるから。」
「まじか。じゃあ何食べるか考えとく!」
「気をつけて帰ってくるのよ。」
「はいはい〜。」
20年程生きていて、高級な飯なんて食べたことない。両親も食べたことないんじゃないだろうか。俺が食べたいものなら、俺が店を決めなきゃいけないんだろうな。どこがあるだろう。あ。弓弦なら知ってそうだな。
思いついた俺はその日の夜に弓弦に聞いてみた。
「高級なお寿司屋さん?」
「そうそう!就職決まって、親が何でも食べて良いって言うからさ。高級な店とか知らないし、弓弦なら知ってると思って。」
「知ってるけど、ここからあんまり離れた場所だと答えれないよ。」
「俺の実家こっから1時間ぐらいだから、ここら辺でいいよ!寿司食べたいんだよね。回らない寿司!」
「そうなんだ。じゃあ……十和 とかどうかな。こっから20分ぐらいのビルの中にあるよ。おまかせコースとかもあったから。」
「おお!いいねっ。ちょっと調べよー。」
弓弦の言っていた寿司屋を調べると俺は値段に驚愕した。
『おまかせコース30000円〜』
『〜』って事は3万円からって事だよな。1人3万円……、3人で9万円……?!1回の飯で9万円……まじか。
「弓弦もう少しリーズナブルなお値段ないの……?」
お祝いと言ってもこれは奢ってもらうのを躊躇する。
「うーん……。じゃあ鯵夢 は?」
それを調べるとコース1万円からと書いてあり、俺はここにすることにした。
「ありがとなっ。さすが弓弦だな。」
「……ねぇ。土曜日何時に行って、日曜日何時に帰ってくるの?」
「え、時間?決まってねぇけど、昼ぐらいから行って、夜帰るかな?」
「じゃあ俺の家から行って、ここに帰ってきて。」
「ええ。実家行く前後までsexすんのかよ。どんだけ性欲溜まってんだ……。」
「だってもう弓弦は就職決まったし、何回sexしてもいいよね。沢山したい時も我慢していたんだ。ああ。嬉しいな……。就職おめでとう。」
「前文やめろ。嬉しさ半減だわ……。」
げんなりするが、弓弦は親父さんの会社の二次面接が控えている。精神的にきつそうなのは分かるので、就職の決まった俺は広い心で受け入れることにする。
こんな風に悪態をついても俺は弓弦に感謝していた。ある時から弓弦のお陰で飛翔への好きの気持ちは消えつつある。会って話してもモヤモヤする気持ちはなくなってきたのだ。
もう何だかんだ半年ぐらいの付き合いになった。すぐ飽きるだろうとの予想を反して未だに俺の身体飽きずにsexしてくる。でも続いても大学在中までだろう。友人として今後も付き合って欲しいなんて言っても、却下されるだろうし、関係がなくなる事をそろそろ覚悟しておかないといけない。
飛翔へのモヤモヤは無くなってきているけれど、弓弦へのモヤモヤが出てきて、俺の心はなかなか平穏が訪れない。
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