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兄弟以上恋人未満

ただ、後期研修医だから昔みたいな茶髪天然パーマじゃないからね……今はアホ面だからちょっと残念なイケメンってとこかしら。 「俺なぁ、今日はイオちゃんと帰れるかなぁと思って頑張ってなぁ、本当に帰れてめっちゃテンション上がってんねんで!?」 若さからか、勢いで立ち上がって私にふくれっ面を見せるから、相変わらずかわいくて笑う私。 「笑い事ちゃうからな、わかってんの!?」 キャンキャンと子犬みたいに言うくせに病棟ではクールぶってるから、バカな女子が騒いでるのよね。 私は何もかも知ってるから無反応なんだけど、興味ないって思われているのがちょっと心外なだけ。 「大丈夫よ、私もツナと帰りたかったから」 諭すように言って微笑む私。 医師と看護師になったからなかなか時間が合わない私たち。 もちろん、一緒に仕事をすることもあるけれど……立場が逆だからね。 「ほんまに言うてる?」 目を丸くして恐る恐る言うツナ。 「疑うなら先行くで」 そっぽ向いて早足で進んでいく私。 「ちょっと待ってって!」 慌てながら追いかけてきたツナは私の手を掴む。 今度は職場の人に見られたくない私が慌てる。 「いいの、俺の隣にはイオちゃんしかいないんやからさ」 綺麗に口角を上げるツナを見たし、大きい手が強く私の手を握ったのもわかったからうなずくしかなかった。 「早く優秀な外科医になりなさいよ、そのために看護師になったんやから」 「わかってるよ、頑張るから俺」 「ほんまにもう……困ったやつやわ」 ふふっと笑った私にハハッと豪快に笑うツナはずっと変わらないんだと思った。 これからも兄弟以上恋人未満のまま。

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